化物和本草 4 二丁裏 三丁表 山東京伝作 葛飾北斎画 寛政十 版元 山口屋忠右衛門
化物和本草 3巻
山東京伝作 1761-1816
葛飾北斎画 1760-1849
版元 山口屋忠右衛門
寛政十 (1798)
18cm
黄表紙
早稲田大学所蔵
早稲田大学図書館 (Waseda University Library)
化物和本草 二丁裏
平家蟹(へいけがに)
大(たい)の平記物語(へいきものがたり)に曰
へいきがにといふハ、そのむかし、
主か永(ゑい)のみだれに、平家(へいけ)の
いちもん、西海(さいかい)の並みにしづみ、
男子(なんし)の一ねんハついへいきがにとなる、
かうらいハおんなの角のごとく、
ばさみハひらもといににてあしハ
べつかうのかんざしのごとし、かハ
わげゆ和火ににたり、やまのくづるれるやうな
ことありてもへいきなるゆへ、かくハ
とかく人に なづくるなり
さからふかにして
ものごとよこに
ばかりあゆむなり、
うたがいふかく
むねのうちに
つるぎを久し
りんき、しつと
のこゝろおゝく
やもすれバ
男蟹(おがに)をしりに
しきたがるかに
なり、そのゆへに
りやうしもおそれ
化物和本草 三丁表
てちけにたまう
といふおそれ
つゝしむ
べきうに
なり
化物和本草 三丁表
「まさひるめし
まへじやから
はらバ
へこつて
にげにいくぞ
化物和本草 三丁表
いしが
いのちハ
とふで
かろく
して
くだ
され
化物和本草 三丁表
かゝさま
はやく にけ
さつしやれ
平家蟹
歌舞伎 原作:岡本綺堂
舞台。冒頭、映像で物語背景を説明。浜辺の近い家。回り舞台で海側の裏手に転換。
ナレーションは白石加代子?。
お話。平家滅亡後の壇の浦。生き残りの女達は惨め。惨めさあまって、玉蟲は亡き
武将の名を蟹につけて親しむ狂いぶり。その妹が源氏方・那須与市の弟と相思相愛
と聞いて、怒髪天。二人を蟹の毒で呪い殺してしまう。
芝翫・玉蟲、不安定な役柄を粘り腰でじっくりと演じ。得体の知られない不気味さ
を醸し出す。転換多く、道具方たいへん、暗転の時間もちと長め。
芝翫は七代目の故芝翫丈が好き^^v
「平家蟹」は歌舞伎チャンネルか衛星劇場で何度か見たことがある。