今昔狐夜噺 15 (いまハむかし きつねのよばなし) 十三丁裏 十四丁表 上、中、下 十返舎一九 画・作
早稲田大学図書館 (Waseda University Library)所蔵
https://archive.wul.waseda.ac.jp/kosho/he13/he13_01216/he13_01216.html
今昔狐夜噺 上,中,下 (合本)
十返舎一九 画・作 1765-1831
1冊(合3冊) ; 18cm
[江戸] : [榎本屋吉兵衛], [寛政9(1797)]
黄表紙
今昔狐夜噺十二丁裏
らくさいハくびじつけんをめい
わくながら、しまいてみな
ごたいぎ/\、おつげでめづら
しい事を見ましたと、いち
れいいべけれバ、「はつ」といふて
そのさにいならびたる
よろいむしゃ、あとかた
もなくきへ失せけれバ、
よハ ほの/″\と
あけにける、
さて、へいけ
がたのくび
なりと
いち/\
じつけんに
そなへたる
くびどのを
みなはき
だめへとり
すてさせ
けるをおもひ
いだし、いかなる
ものをくびと
なづけて
われにみせ
しやがてん
ゆかずとかの
今昔狐夜噺十三丁表
はきだめへ
ゆきてみれバ
とり、すいくわ
とうぐわん
ふたべひやう
たんが、ぼちや
おびたゞしく
うちすて
ありたり、
さてハくびと
みへしハ
これなるべし、
どふりてかぼ
ちやがとう
なすだと
大わらい
をぞ
し
たり
ける
今昔狐夜噺十二丁裏 下
「とももりこれもり
などといふけうだいのくびと
見へし□(欠け)どふりこ、そうりが
ふたつ
じや
今昔狐夜噺十二丁裏 下
「こうした
ところハ
べちゃアねへ
おくやまの
まめぞうと
いふみぶり
だ
今昔狐夜噺十三丁表
「さきぼふ
のからす
どの、ちた
やすんで
とばつ
せへ
な
今昔狐夜噺十三丁表
からす
「かあ/\
あのとりが
つゝいてみたい
今昔狐夜噺十二丁裏
楽斎は首実検を迷惑
ながら、終いて皆
ご大義ご大義、お告げで珍しい
事を見ましたと、一例
いべければ、「はっ!」と言うて
そのさに居並びたる
鎧武者、跡形
も無く消え失せければ、
世は ほのぼのと
明けにける、
さて、平家方
の首
なりと
いちいち
実験に
備えたる
首殿を
皆掃きだめへ
取り捨てさせ
けるを思い
出だし、如何なる
物を首と
名付けて
我に見せしや
合点ゆかずとかの
今昔狐夜噺十三丁表
掃き溜めへ
行きてみれば、
取り、西瓜、
冬瓜、
ふたべ瓢箪、
がぼちゃ
夥(おびただ)しく
打ち捨て
有りたり、
扨は首と
見えしは
これ成る可し、
どうりて、
南瓜が唐茄子だと
大笑い
をぞ
し
たり
ける
今昔狐夜噺十二丁裏 下
「知盛、維盛
等と言う兄弟の首と
見へし□(欠け)どうりこ、そうりが
ふたつ
じや
今昔狐夜噺十二丁裏 下
「こうした
ところは
べちゃア ねへ
奥山の
豆蔵と
言う身振り
だ
今昔狐夜噺十三丁表
「先坊
の烏
殿、ちた
やすんで
とばつ
せへ
な
今昔狐夜噺十三丁表
烏
「かあかあ
あの鳥が
つついてみたい
さて、へいけ
がたのくび
なりと
いち/\
じつけんに
そなへたる
くびどのを
みなはき
上の文を読み、『仮名手本忠臣蔵』では無いが、『御摂勧進帳』(『芋洗勧進帳』)を思い浮かべた。
若干滑稽でそれでいて格好の良い弁慶が、次々と敵をなぎ倒し、首を引っこ抜く。
弁慶が大井戸に登り、首を井戸で芋洗の様にザブザブ首を洗い、ポンポンと道端に放り投げる。
道に転がった首を、二人の奴が
「お掃除お掃除・・・」
と言いながら首を履いていくコミカルな場面が思い出された^^
歌舞伎、見た〜〜い。劇場に行きた〜〜い。
歌舞伎が見たいワイ!