『疱瘡心得草』17 16丁裏 17丁表 志水軒朱蘭 述
『疱瘡心得草』 志水軒朱蘭 述
一冊
出版 蓍屋善助
寛政10 [1798]
国立国会図書館デジタルコレクション
請求番号 852-26
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『疱瘡心得草』
国立国会図書館所蔵
16丁裏
の垢(あか)を取(とる)にしかず
掻(かき)破(やぶ)りの用心のこゝろへの事
凢(およそ)かきやぶりも膿(うみ)に成て、後(のち)ハ少(すこし)も邪魔(じゃま)にな
らず、痘(いも)の内に、一粒(ひとつぶ)甚(はなハだ)かゆきあり、夫(それ)に付て外(ほか)
の痘(いも)を損(そん)ずる故也、
一角(うにこうる)の事
古(いに)しへより痘(痘)に薬(くすり)なりと云(いふ)事あり、しかし一角(うにこうる)ハ
凢(およそ)(おおよその転)
一( 名 )物事のたいていのありさま。あらまし。おおよそ。 二( 副 )① 断定はできないものの、その推定はかなり確かであるさま。② 話を切り出す時に用いる。そもそも。一体。③ (主に否定的な表現を伴って)まったく。 × 凡 (ぼん) [名・形動]ごく普通であること。ありふれていること。また、そのさま。平凡。「凡ならざる才能」
国立国会図書館所蔵
16丁裏
一角(うにこうる)の事
古(いに)しへより痘(痘)に薬(くすり)なりと云(いふ)事あり、しかし一角(うにこうる)ハ
17丁表
毒(どく)けしの物にて、痘(いも)には妙(みょう)なり、夫故(それゆへ)に発熱(はつねつ)より
鮫(さめ)にておろし、両(りやう)三度程(ほど)づゝ白湯(さゆ)にて用ゆべし、扨又
柳(やなぎ)の虫(むし)も痘の毒を肌(はだ)の外(ほか)へ追(お)ひ すかす の功(こう)有、
此品(しな)もはやく用ゆべし、又 煎(せん)じて虫(むし)を去(さ)り呑(のぬ)べし
又テリアカの類(るい)、痘(いも)の妙薬(めいやく)也、良薬(りょうやく)あまた有と
いへども、用ひがたし、痘(いも)は薬(くすり)を用(もちい)て害(がい)ある事(こと)有
悪(あ)しき痘(いも)になれバ、薬(くすり)も益(えき)なし、中痘(ちうとう)ハかへつて
薬の道にあやまる事あり たゞ大切に慎むべし
附録
麻疹(はしか)心得(こころへ)の事
一角(うにこうる) “うにこうる”の漢字 (注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。 一角 刺鮫 はりざめというのは相当に大きな奴で、夜、海の中を行くと、白い光が潮に透って見える、こいつは舟をくつがえしたり、人を食ったりする怖るべき奴で、舟乗りはこいつにでっくわす鰹を投げやって逃げる。 この刺鮫も頭に角のあるというのを聞かない。 一角魚(うにこうる)の角は、角というよりは 嘴(くちばし)だ。 大菩薩峠:26 めいろの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著) テリアカ (日本国語大辞典) 〘名〙 (theriaca) オランダ伝来の薬。色の赤いねり薬で毒ヘビなどの有毒動物の咬傷に効く解毒剤。テリアギア。 ※増補華夷通商考(1708)五「此国より出るテリアカと云丹薬あり」