『疱瘡心得草』11 10丁裏 11丁表 志水軒朱蘭 述
『疱瘡心得草』 志水軒朱蘭 述
一冊
出版 蓍屋善助
寛政10 [1798]
国立国会図書館デジタルコレクション
請求番号 852-26
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『疱瘡心得草』
国立国会図書館所蔵
10丁裏
有(あり)て、出浮(いでうき)揃(そろ)ふを上(かみ)の関(せき)と云(いふ)、膿水(うみ)持(もち)てかせかゝる
を後(のち)の関(せき)といふ、出(い)でうきかぬるハ、五日六日の上(かみ)の関(せき)
を越(こ)へがたし、後(のち)の関(せき)ハ、十日、十一日にあり、乍去(さりながら)生(うま)れ子(ご)
の一年にみたぬは、十五日の期(ご)を待(また)ずして、早くかせ
るゆへ、其痘(そのいも)を重(おも)きものハ、八日、九日を三、四才(さい)の十日、十一日
にあてゝ見(み)るべし、俗(ぞく)に始終(しじう)を十二日と心(こゝろ)得て、神送(かみおく)り
するハ、疱瘡(ほうさう)の吉凶(よしあし)を定(さだ)むべし、吉痘(よきとう)は是(これ)より薬用(くすりもち)
ゆべからず、又 軽(かろき)といへども、餘(ほか)病(やまひ)を挟(はさ)むものハ、其儘(そのまゝ)になし、
置(おく)べからず、良(よい)醫(いしゃ)の指図(さしづ)を、持(もちゆ)べきなり
潅漿(みづもり・きちやう)三日の間(あいだ)のよしあしの心得の事
国立国会図書館所蔵
10丁裏
潅漿(みづもり・きちやう)三日の間(あいだ)のよしあしの心得の事
11丁表 左
第(だい)一に水(みず)もりにうき破(やぶ)れバ、よき疱瘡(ほうそう)にても変(へん)じ
悪(あし)く成(なる)也、出揃(そろ)ひして、肌地(はだぢ)分(わか)れ、顆粒(つぶだち)いで水(みづ)もるは
吉事(よきこと)也、大吉痘(だいきつとう)は、つぶ あら/\として、ぐるりに赤(あか)みを
あらわし、痘(いも)の色(いろ)勢(いきほ)ひ強(つよ)く、気(き)の不足(ふそく)なる痘(いも)は赤(あか)
めぐりなく、痘(いも)と肌(はだ)の色(いろ)と同(おな)じく白(しら)みて勢(いきほひ)うすし、
熱(ねつ)ハ出(いで)そろいてはさめ、又 水(みず)もりに熱出(ねつで)るものなり、
吉痘(よきとう)は表熱(ひやうねつ)ありても、裏(うら)すゞしく、食事すゝむ也、
此時(とき)血熱(けつねつ)つよく、痘(いも)の色(いろ)血(ち)ばしりて、うるをわぬも
のは、いそいで毒(どく)を解(げ)すべし、又 気疱(ききよ)して、血疱(けつほう)となり
て血(ち)のまゝにて潰(つぶ)るゝものハ、重(おも)き痘(いも)也 水疱(すいほう)といふ