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恩頼堂文庫旧蔵本 『仁勢物語』27  「われハかりほゝあらふ人ハ又もあらしと おもへハ水の したにもありけり」十五丁裏

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 富田高至 編者

 

 

恩頼堂文庫旧蔵本 『仁勢物語』27  「われハかりほゝあらふ人ハ又もあらしと おもへハ水の したにもありけり」十五丁裏

 

和泉書院影印業刊 65(第四期) 1998年

 

 

十五丁裏

◯をかし男女のもとに、一夜いきて、又もいかすなりに

けるは、女の物あらふ所に、ぬきかけをうちやり

盥(タライ)にもののみえけるをみつから、

  われハかりほゝあらふ人ハ又もあらしと

  おもへハ水の したにもありけり

とよむを、かのこおりける男 のそきて

  水底に ものや見ゆらん馬さへも

  まめたらひをハ のそきそ鳴

 

十五丁裏

◯おかし男、女の元に、一夜行きて、又も行かすなりに

けるは、女の物洗う所に、ぬきかけをうちやり、

盥(タライ)に物の見えけるを自ら、

  我はかり 頬洗う人ハ又も有らじ

  と思えば水の 下にも有りけり

と詠むを、鹿の子織りける男 覗きて

  水底に 物や見ゆらん馬さへも

  豆盥(まめたらひ)をば 覗き見ぞ鳴く

 

 

豆盥(まめたらひ)

 馬の飼料を入れた盥(たらい)

 女性の、、、に見立てた。

 

 

『仁勢物語』和泉書院影印業刊     

  われハかりほゝあらふ人ハ又もあらし

  とおもへハ水の したにもありけり

『伊勢物語』岩波古典文学大系9 「竹取物語 伊勢物語 大和物語」より写す

  我計(わればかり) 物思(ふ)人は 又もあらじと

  思へば人は おとこたちききて

  

『仁勢物語』和泉書院影印業刊     

  水底に ものや見ゆらん馬さへも

  まめたらひをハ のそきそ鳴

『伊勢物語』岩波古典文学大系9 「竹取物語 伊勢物語 大和物語」より写す

  水口(みなくち)に 我や見ゆらん かはづさへ

  水の下にて 諸声(もろこゑ)になく

 

 

 


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