富田高至 編者
恩頼堂文庫旧蔵本 『仁勢物語』 7 四丁表 五丁裏
和泉書院影印業刊 65(第四期)
1998年 初版
1997年 第三版
左
7 四丁表 五丁裏
四丁表
◯をかし男有けり、京にありわびて東に行きけるに
伊勢、尾張に鮑・蛤の海つらにあるを人のいとおほ
右
五丁裏
くかひけるをみて
いとゞしく すきぬる貝のこひしきも
うら山しくも かへる人かな
となん、よめける
7 四丁表 五丁裏
◯おかし男有けり、京に在りわびて 東に行きけるに
伊勢、尾張に鮑・蛤の海面にあ有るを 人の愛おしく
買いけるを見て
いとどしく 好きぬる貝の恋しきも
羨ましくも 買える人かな
となん、詠めける
いとゞしく
いとど 副詞 古語辞典
1ますます。いよいよ。いっそう。 出典更級日記 かどで
2そのうえさらに。 出典大鏡 序
うら山しく 当て字
羨ましい
『仁勢物語』和泉書院影印業刊
いとゞしく すきぬる貝のこひしきも
うら山しくも かへる人かな
『伊勢物語』岩波古典文学大系9 「竹取物語 伊勢物語 大和物語」より写す
いとゞしく 過ぎゆく方(かた)の恋しきに
うら山しくも かへる浪(なみ)かな