『平安 名家家集切 平安 戌辰切和漢朗詠集』より「藤」紀貫之 含 日本名跡業刊
山種美術館蔵
藤
悵望慈思三月尽コトシ紫藤花落鳥開々 白 紫藤露底残花色翡竹煙中暮鳥声 相規 たこのうらのそらさへにほうふゝぢのはな かさしてゆかむ見ぬ人のため ときはなつまつのなたてにあやしくも かゝれるふちのさきてちるかな 貫之 悵望す慈思に三月の尽きるがごとし 紫藤の花落ちて鳥 開々(ママ かんかん)たり 白楽天 紫藤の露の底に残る花の色 翡竹の煙の中に暮鳥声 源相規 田子の浦の空さえ匂う藤の花 かざしてゆかん 見ぬ人のため (蔵忌寸蝉丸) 時は夏 松の名だてにあやしくも かゝれる藤の咲きて散るかな 紀貫之悵(ちょう うら-む)
四字熟語 悲歌悵飲 (ひかちょういん)
悵望(名)心をいためて思いやること。うらめしげに見やること。
「七夕の深き契によりて驪山の雲に-すること勿れ/今鏡 すべらぎ中」