謡曲『花筐』世阿弥 狂女物
越前国→大和国
世阿弥作謡曲『花筐』(『能を読む 2 世阿弥』)越前国にいた大迹部皇子は皇位継承が決まった為、大和へ行く。
親しくしていた恋人の照日前(前シテ)には手紙と形見の花籠を遣わす。
手紙と花籠を見た照日前は、恋しさの余り旅に出る。
雁を見て、『彼の方はいづこ、雁についていけば、あの方も元につくだろうか。』と、物狂いの様子となる。
大和に着いた照日前(後シテ)は、天皇となった大迹部皇子の行列に出会う。
臣下(ワキ)は狂女を追い払おうとし、彼女が手にしていた形見の花籠を打ち落とす。
照日前は天皇への恋しさと畏れ多さに心乱れ、皇子の面影思い、涙する。
御前で舞えとの宣旨に彼女は、自らの叶わぬ思いを託し、古代中国でおこった帝と夫人との悲恋の物語を謡い舞う。
その舞の姿に、故郷の恋人だと確認した天皇は彼女を再び宮仕えに召そうと告げ、照日前は大迹部皇子(天皇)と再び一緒になれた。