『近松全集 第四巻』より、「堀川波鼓」1 三オ 近松門左衛門作
姉さんならしなさんせう、人が聞たら、思ひましよ。アレおくに鼓の系
こがある高ひ声さつしやるな。しゐし/\をはり物にかいまミ/\、「のぞく。
鼓の手にひものつてつれあひを上の空、恋衣松に打かけほす
内に。曲もおハりのかけ声、ヤァ、かたミこそ今ハあたなれ是なくハわす
るゝ隙も有ならんと、よミしもことハりや楢おもひこそハふるけれ、あら嬉し
やあれつれあひのお帰りぞや。いで/\むかひに奉らふとはしり
よれば是様、エェ、しやうだいないあれハ庭の松の木よ。彦九郎様ハ
江戸にじやかいの氣がちがうたかと恥ぢしむれば。おろかなおふじ
「堀川波鼓」 近松門左衛門作 1 一オ
「堀川波鼓」 近松門左衛門作 2 一ウ 二オ
「堀川波鼓」 近松門左衛門作 3 三ウ よんオ