『敵討天下茶屋聚』
幸四郎 梅玉 魁春 錦之助 高麗蔵 大谷友右衛門 大谷桂三 錦吾 彌十郎 現又五郎 歌六 段四郎 吉右衛門
『敵討天下茶屋聚』
出演: データーは衛星劇場HPより ▼
松本幸四郎
中村梅玉
中村魁春
中村錦之助
市川高麗蔵
大谷友右衛門
大谷桂三
松本錦吾
坂東彌十郎
中村歌昇(現・又五郎)
中村歌六
市川段四郎
中村吉右衛門
2011年
191分
カラー
幸四郎が天保年間以来となる一人二役を復活上演した話題の舞台。 江戸時代に大坂の天下茶屋で実際に起こった仇討の事件を題材にした仇討狂言の傑作。活躍する安達元右衛門という役どころは、四世大谷友右衛門が工夫を凝らし、以後多くの名優が演じ練り上げられてきた悪党ながら愛橋のあるキャラクター。今回はその安達元右衛門と、悪の首領である東間三郎右衛門という魅力的な悪の二役を幸四郎が初役で勤めた。幸四郎のほか、梅玉の伊織、錦之助の源次郎、段四郎の玄蕃頭、そして吉右衛門の人形屋幸右衛門という贅沢な配役で。(2011年/平成23年5月・新橋演舞場)
以前にもテレビで見た『敵討天下茶屋聚』を十一月も見ることができて、感動した。
この役は美しくうまい役者さんでなければ、芝居が持たないという、
幸四郎さんは顔が似ているという人物二人を使い分け演じられる。また、酒が入った場合としらふの場合も見事な表現。
実直な弟が初めて酒をのみといった、弟の人生もしみじみと伝わる。
この芝居では何もかもが陰と陽、裏と表と言った風に対局にものごとを構成し、心理学的に考えても面白い設定で筋書きにうまさにも役者の力量にもドンドンと引き込まれて行く。
劇中伊織が足を刺され、状態は悪く、おこもりの生活に身を落とす。
壁はむしろに、戸はこもだれ、虫の鳴く音をよすがにして、
露の雫の草枕、どりゃ夢なと結ぼうか
先日歴史講座で、乞食(こつじき)さんにもいろいろランクがあると聞かせて頂いた。
乞食さんのことを こもかぶりさん、おこもさん という場合がある。
乞食さんがムシロ「こも」を被っていることが多かったためだそうだ。
歴史の先生によれば、「こも」そのものにランクがあると言うのだ。
一番上は「剣菱」の「こも」。これを使うふとはもと武士等だそうだ。
今回見た平成23年5月・新橋演舞場の舞台では 戸はこもだれ、こもには剣菱のマークが押されていた。
東間三郎右衛門が仮名手本五段目斧定九郎のように小屋の中から現れ、伊織のプライドを引き裂くように剣菱柄のこもを引き落とす。
小屋頭が元武士の伊織に多少の敬意をはらい、剣菱のこもをそえたのかもしれないか………。
時間が経過して、伊織は東間三郎右衛門に殺され、剣菱こもの上に寝かされることとなる。
こも一枚、されど こも
芝居の美術関係車は時代や背景を徹底的に調べ上げて舞台を完成させて行かれるのだなぁと感じた。
だから芝居って、何度同じ演目を見ても楽しめるんですね。きっと☆