『風流 妖化役者附』上 三ウ 四オ(ふうりゅう ばけものやくしゃづけ) 鱗形屋孫兵衛, [江戸 明和6(1769)] 4
『風流 妖化役者附』上 三ウ
第一ばんめじよひらき中将はの北門と いふばけ
もの○ぼうもんのさいぜうの 役を
こじつけるかゝる所へ
むかうゟ市川團十
のう(ママ)といへる実(じつ)
あく事のばけ
もの、しのづ
か
の
やくにてし
ばら/\
のでは古
今の 大手け
ばけ
物 な
クま
へおち
のくる
事春風 のことし
『風流 妖化役者附』上 四オ
神輿入道ハ 古風のばけ
のせんせいなり
ことにこの芝居
◆とりたてにつき○金ものとしてつかわしけ
れハ二座のもて印とて太夫さじきの一を
いんきよ貞といふはりぶたにて御
そう申
◆「いよ/\たのむに十のう殿とハ
かミすきのもん くあ つはれ
大 でけ
/\ とて
はなを いだす犬
あたま ハとうどう
なれ バカづ
ら のミす
さ じき
を かけ
取てち
かづき
を
あやなす
『風流 妖化役者附』上 三ウ
六
蛮(ばん)
九夷(い)
我子を たれうし
らさらん や新田(にった)
ぎ
よし貞(さだ) が家臣(くしん)
鹿塚(しのづか)いがの 当とな
のる仕内、そ のまくの
成田や三殊 とミへ
けり
『風流 妖化役者附』上 四オ
「とうげの
嵐(あらし)おと 鉢(はち)
とて 上下す
がたのば
けもの
もん
さく
いふ
心ハ
鉢
と
で
お
け
ば
お
し
が
す
る
ゆへ
おと
鉢と
申
しのづかのやくにて、しばらく
= 篠塚の役にて、
「しばらくぅ〜、しばらくぅう!」
篠塚 =鎌倉権五郎景政(かまくらごんごろうかげまさ)
『暫』では、 賀茂次郎義綱家来、史実の鎌倉景正に相当
『暫』= 歌舞伎十八番 『暫』
荒事
成田屋
市川團十郎がが花道で舞台正面に向かって言う台詞。
「しばらくぅ〜、しばらくぅう!」
十のう殿 = 十郎殿(曽我十郎)のことか
かミすきのもん くあ つはれ
= 髪すきの文句、あっぱれ
『髪結新三』か
新三:こんな出合いも其の内に、てっきり有ろうと浄瑠璃の
に掛けて懐に、隠しておいた此の匕首
刃が有れば鬼に金棒、どれ血塗(ちまぶ)れ仕事に掛かろうか。
源七:如何に所が寺町とて、未だ盂蘭盆も来ねぇのに
聞きたくも無ぇ地獄の云い立て、無常を告ぐる八幡の
死出の山鐘三途の川端、辺りに見る目嗅ぐ鼻の
人の来ぬ間にちっとも早く、冥途の先駆けさしてやろう。
上の引用で、本書の
大 でけ
/\ とて
につながっているのかもしれない。
はなを いだす犬
あたま ハとうどう
なれ バカづ
ら のミす
さ じき
を かけ
取てち
かづき
を
あやなす
= 鼻を出だす犬、頭は藤堂なれば、
葛(カズラ くずの事)の御簾(みす)
桟敷をかけ取りて、かずきをあやなす。
六
蛮(ばん)
九夷(い)
六蛮= 四海与九夷、八狄、七戎、六蛮 (http://blog.sina.com.cn/s/blog_48fa33d90100m938.html 中国人の方のブログ 中国語のため、内容はわかりません)
九夷= 昔、中国の漢民族が東方にあると考えた九つの野蛮国。畎夷(けんい)・于夷(うい)・方夷・黄夷・白夷・赤夷・玄夷・風夷・陽夷をいう。
夷 =
えびす 【夷・戎・蝦夷】名詞 (学研古語辞典)
①「えみし」に同じ。
②未開の外国人。また、その国。
③情趣を解さない田舎者。荒々しく粗野な人。▽多く、東国の男・武士をさす。
中国の漢文(古典)にも、日本の事を「夷国」と記されたものがある。(本の題は忘れた)
成田や三殊 =成田屋三殊
三殊 =地名(みたま) (ブリタニカ百科事典)
山梨県中部,市川三郷町東部の旧町域。
御坂山地西部にあり,笛吹川の支流芦川の流域を占める。
1954年上野村,大塚村と下九一色村の一部が合体し町制施行。地名は3村を珠にたとえてつけられた。
2005年市川大門町,六郷町と合体して市川三郷町となった。
主産業は農林業で,北部の笛吹川沿いの低地では米作のほか早出しトウモロコシが栽培されている
御坂山地に続く曾根丘陵はニンジン,ゴボウの産地であったが,果樹栽培への転換が進んでいる。
「とうげの
嵐(あらし)おと 鉢(はち)
とて 上下す
がたのば
けもの
もん
さく
いふ
心ハ
鉢
と
で
お
け
ば
お
し
が
す
る
ゆへ
おと
鉢と
申
= 峠の嵐、音、鉢とて(峠の嵐の音は鉢の音がするので)
上下姿の化け物、もんさく言う心は、
鉢とでお化けおし(音)がするゆへ、
音鉢(固有名詞)と申す。
『暫』= 歌舞伎十八番 『暫』
荒事
成田屋
市川團十郎がが花道で舞台正面に向かって言う台詞。
「しばらくぅ〜、しばらくぅう!」
知られざる歌舞伎座の名画 尾形月山「暫」 山種美術館
InternetMuseum様からお借りしました。
(読み間違いはお許しください。)
『風流 妖化役者附』上 一ウ(ふうりゅう ばけものやくしゃづけ) 鱗形屋孫兵衛, [江戸 明和6(1769)] 1
『風流 妖化役者附』上 二オ 三ウ(ふうりゅう ばけものやくしゃづけ) 鱗形屋孫兵衛, [江戸 明和6(1769)] 2
『風流 妖化役者附』上 三ウ 四オ(ふうりゅう ばけものやくしゃづけ) 鱗形屋孫兵衛, [江戸 明和6(1769)] 4
『風流 妖化役者附. 上』(ふうりゅう ばけものやくしゃづけ)
鱗形屋孫兵衛, [江戸 明和6(1769)]
19cm
黒本
書名は題簽による 版心書名:役しや 角書付書名:風流妖化役者附
墨書入あり
和装
黒本(くろほん、くろぼん)とは
江戸時代に書かれた挿絵が描かれた本、草双紙の一種。
子供向けの赤い表紙の赤本が発展して、青少年向きの黒い表紙の黒本になった。
題材は、浄瑠璃、歌舞伎、英雄伝、戦記が多い。草双紙 黒本
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