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Channel: 乱鳥の書きなぐり
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『スカ屁』  江戸時代後期発行のかわら版「スカ屁」。一部画像に処理を施してあります(大阪府立中之島図書館所蔵)

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 江戸時代後期発行のかわら版「スカ屁」。一部画像に処理を施してあります
                              (大阪府立中之島図書館所蔵)


 スカ屁

 越中かき山 いまき谷(だに)
  
 尻が洞(ほら)われめより

 すかべと云(いふ=いう)者(もの)出(いで)て

 こやし取りに告(つげ)て曰ク(いわく)

 今年ゟ(より)四五年の内に

 名もなきおなら流行(りうこう=りゅうこう)

 して、いもべの薬にても

 ゆかず、手にあせにぎりべ

 さいごべの事有(あり)。我姿(わがすがた)

 青ひ(あおい)顔(かほ=かお)を絵図(えづ=えず)に

 うつしはり(写し貼り)、おう わ(は)

 其難(そのなん)をのがれ

 家内(かない)まめべ、くそ

 くさい、延命うたがひなし、

    
    【絵図】


     どこもかもくさべ、

     あんまりくだべで

     はらもくだべいふ(いう)のも

     くだべ、あとから出し(いでそ)

     なお

     くだべ






 うつしはり(写し貼り)、おう わ(は)

 其難(そのなん)をのがれ

 家内(かない)まめべ、くそ

 くさい、延命うたがひなし、


 上のように記されていることから、この絵を写しはると、おならの難から逃れられることがわかる。




     読み間違いがある場合は、お許し下さい。


 
 江戸時代後期発行のかわら版「スカ屁」。一部画像に処理を施してあります(大阪府立中之島図書館所蔵)


 


 “放屁ネタ”は江戸庶民の笑いのツボ 妖怪「スカ屁」かわら版誕生の理由  (引用)
 THE PEGE
 2017/1/24(火) 18:10配信
 https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170123-00000001-wordleaf-soci&p=1

 江戸時代の娯楽や情報源として、庶民に愛されたかわら版は、その時々の社会情勢などに応じて異なる趣がありました。地震や火事など災害時には、迅速にまじめに役立つ情報を提供しようとかわら版屋の“本気”を見せつけてくれました。しかし、平和な時が続くと、つい物足りなくなってしまうのか、奇妙なかわら版が出回り始めます。

 妖怪「スカ屁」のかわら版は、いったいどのような経緯で作られたのでしょうか? 大阪学院大学、准教授の森田健司さんが解説します。

一見謎のかわら版「スカ屁」
 ここに一枚、奇妙なかわら版がある。表題は「スカ屁」。目に飛び込んでくるのは、力強い線で描かれた、老婆らしき人物のイラストである。この老婆、どうやら放屁しているようだ。左手で自身の鼻を摘んでいることからは、その屁が相当な悪臭であることが察せられる。

 かわら版は、基本的に何らかのニュースを伝えるものである。果たして、この「スカ屁」なるかわら版、何を報じようとしているのか。十分にイラストを見た後に、記事に目を移してみよう。それは、こう始められている。

  越中かき山いまき谷 尻が洞われめより すかべと云者出て こやし取に告て曰ク

 簡単に現代語訳すると、越中(現在の富山県)の「かき山」の「いまき谷」にある「尻が洞」の割れ目から、スカ屁という者が出現し、こやし取りの者に次のように告げた、となる。この老婆は、どうも人間ではなく、スカ屁という名の妖怪のようである。もう少し、続きを読んでみたい。

  今年より四五年の内に 名もなきおなら流行して いもべの薬にてもゆかず 手にあせにぎりべ

  THE PAGE
大人気だった妖怪関連かわら版
 幕末に近付くにつれて、かわら版の中には、いわゆるジャーナリスト精神を感じさせるものが確実に出現し始めた。特に、天災地変や火事に関するニュースを報じるものに、そのような傾向が強く、これは以前述べた通りである。

 そうは言っても、やはりかわら版が最も得意としたのは、怪しげで、娯楽性の高い情報の伝達だった。中でも妖怪関連のニュースは、信憑性がほぼゼロでありながら、どれも抜群に面白く、庶民に大人気だった。「これぞかわら版」と表現したくなるような、いかがわしくも愉快なものばかりなのだ。

 この背景には、当時の庶民にとって、妖怪という存在が極めて身近だったことがある。今よりずっと、世界は未解明で、わからないことが多かった。そういった人間の知性の光が届かない領域、例えば麻疹や疱瘡などのおそろしい流行病は、妖怪の仕業として理解されることも多かったのである。

 そもそも、西洋のモンスターと違って、日本における妖怪とは「没落した神々」であって、無条件に人間と敵対する者とは考えられていなかった。それどころか、妖怪の中には、人に利益をもたらす者もいるとされ、大切に扱われることさえあった。

 4~5年以内に、今は名もない「おなら病」が流行する。それには、芋屁(芋を食べた後に出る屁の意、だろうか)を止める薬も効かず、「手に汗握り屁」となるだろう。こういうことらしい。

 頭が老婆、身体が黒い老婆、つまり概ね老婆という見た目を持つ妖怪・スカ屁は、近々流行するであろう、今は知られていない病気を「予言」しているのである。「手に汗握り屁」ということは、当人には屁であると確信できないほどに、危うい屁が出てしまう病なのだろう。ふざけているようだが、確かにそのような病気に感染するのは遠慮したいところである。

 最後に、スカ屁はこう言って去ったという。

  我姿 青ひ顔を絵図にうつしおくわ 其難をのがれ 家内まめべく そくさい延命 うたがひなし

 要するに、この「スカ屁の絵」を持っておけば、「おなら病」の感染は避けられるらしい。それどころか、家内安全、無病息災、おまけに延命長寿まで約束されるという。随分と自信満々な様子だが、その根拠は、ここからは理解できない。

 果たして、この不可思議かつ、下品な一枚刷りは、どういう経緯で作られたものなのだろうか。 (大阪学院大学 経済学部 准教授 森田健司)
 

 

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