映画『女の一生』2016年 仏
原作:モーパッサン 監督:ステファヌ・ブリゼ 脚本:ステファヌ・ブリゼ
4,5★ ジュディット・シュムラジャン=ピエール他
学生時代に読んだ『女の一生』を映画で見る。
2016年に作られたとは思えないような細やかな気配りと重厚さに気配りした映画。
『女の一生』の、女の 一生涯にふさわしい美しくて神経質だが、少し地味で翳りの表現できる女優を起用されている。
女は一生を通じて、顔や表情や肩の落とし方が変化していく。そして病的な目の揺らぎや異常な動きをも表現する。
病的に神経を尖らせた顔や動き、ぼーっとした物思いに耽る表情等を巧みに変化させ強化し、自然体で挑む女優には上手いとしか言いようがない。
この映画を見ながら、これまでの自分の一生を振り返る。
同じ乳で育った複雑な関係の女と、じゅ人口である女とはどんどんと表情に開きが出て、家を失う頃には活気や表情の違いや年の開きまで描き出されている。
モーパッサンが上手いのか、それを彩よく表現している映画も素晴らしいのか、現在でもこのように素晴らしい映画作品が作れるのだとしみじみと感じた作品であった。
最後の、女に孫を連れてきて
「後で息子さんもくるわよ。」
と明るく言い放った複雑な関係の女性の言葉
「人生も捨てたもんじゃないわよ。」
で、作品はすっぱりと終わる。
その切り方も小説や映画の文法に即した方法で、潔い終わり方である。
この映画を検索すると評価は3★程度であっったが、私は高く評価します。
随所随所で流れる中世のリュート音楽もさらに女の心情を描き出し、見ている側の気持ちを高めます。
私はこの映画は好きです。
あらすじ
男爵家の一人娘として生まれ、17歳まで修道院で教育を受けた清純な娘、ジャンヌが親元に戻る。
親の勧める子爵ジュリアンと結婚し、希望と幸福を胸躍らせ人生を歩みだしたかにみえたジャンヌだったが、乳姉妹だった女中のロザリが妊娠、その相手が夫ジュリアンであることを知る。
夫の度重なる浮気、母の死、溺愛した息子ポールの裏切りと・・・ジャンヌに様々な困難がふりかかる。
監督
ステファヌ・ブリゼ
脚本
ステファヌ・ブリゼ
原作
ギイ・ド・モーパッサン
出演者
ジュディット・シュムラジャン=ピエール・ダルッサンヨランド・モロースワン・アルロークロチルド・エスムニナ・ミュリスオリヴィエ・ペリエ