松竹座 七月大歌舞伎 昼の部 『義経千本桜 渡海屋・大物浦』仁左衛門 孝太郎 菊之助 猿弥 彌十郎 鴈治郎 2019年
松竹座の今年度の七月大歌舞伎は昼夜み終えた。
昼の部、片岡我當様のお舞台の『厳島招檜扇(いつくしままねくひおうぎ)』は歌舞伎を長年にわたり見てきた私としては、感無量のお舞台であったことを書き記した。
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大阪松竹座「七月大歌舞伎」2019年 昼の部より『厳島招檜扇(いつくしままねくひおうぎ)』片岡我當様のお舞台で、心を動かされる。役者魂を見せていただいた。
昼の部で、心に残る、何度でも見たくなった演目があった。
仁左衛門丈の『義経千本桜 渡海屋・大物浦』であった。
私が見た日の仁左衛門丈は、感情移入よろしくの細部にわたる細やかな表情作りであった。
私は仁左衛門丈の仕草や表情や声色を少しも見逃さぬようにと、私なりに凝視した。
おそらく側から見れば、怖い!危ない人に見えたのではないかと少し心配。
また、先日楽しんだ大和絵と文字で描かれた『舞の本』には『義経千本桜 渡海屋・大物浦』に関連性の高い冨樫や弁慶などの話が多々乗っており、それたも心の中で順序立てながら楽しんでいた。
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『海の見える杜 舞の本を読む 微笑が愛した舞の世界の物語』石川透 星瑞穂編 (三十四話掲載) 舞の本「冨樫」を能楽、歌舞伎と比較しながら記録。
『乱鳥徒然 湿気た土から息吹きを吸い取り、庭の花々は嬉々としている。弁慶は『舞の本』「冨樫」では子供に扇を与え、子供から冨樫状の関の様子を詳しく聞く。
今回の仁左衛門丈の『義経千本桜 渡海屋・大物浦』は阿呆な言い方に変えれば、超男前で美しい。おまけに、相当の威厳と気品を感じさせてくださる。
こんなに美しい役者さん。孝夫さん時代から四十数年来の美しさで、その魅力は私が高校生の頃も相当可愛いお年頃に変身(メタモルフォーゼ。いや、メタボルフォーゼ、ですわ^^)したおばちゃんですら、その魅力の虜である。
仁左衛門丈の今回の芝居での気品、これは見た方なら皆感じ取っておられるのではないでしょうか?!
夜の部で臨席させていただいた殿方の話によれば。
「あの表情、見られましたか?」
「気品があるましたね。」
「あれはもう見られませんよ。」
「何回も見たくなるでしょう。」
「最高の舞台でしたね。」
など次々に話され、私の気持ちを代弁して下さり、二人の話に熱が入っておりました。
仁左衛門丈の『義経千本桜 渡海屋・大物浦』をみ終えて、悲しい気持ちはずっとおを引いていた。
子供は義経に引き取られ安堵感はあるであろうが、それにsて桃悲しい結末。
私は涙がなかなか止まらす、エスカレーターも踏み外しそうになった。
一階に降りると仁左衛門夫人が例のごとく番頭さんのあたりに立っておられた。
全く面識はないが、涙でくしゃくしゃのなった顔で、遠くから御夫人に頭を下げて松竹座を後にした。
感動するような舞台をは楽しませていただたせめてものご挨拶であった。
仁左衛門丈のお舞台は印象に残るものが多く、また、感動し好きて二度ばかり腰を抜かしてしまったこともある。
幸い夫と一緒で、数分ほど座っていれば歩けるようになったので良かったが、芝居で腰を抜かしたのは仁左衛門丈のみ。
私にとって、嬉しい失態である。
仁左衛門丈といい、片岡我當様の暑い思いのお舞台といい、大好きな秀太郎様の揚巻(『助六』曽我五郎の相手役))の台詞のパロディといい、今回の昼の部は大変満足の行くお舞台でした。
まさしく歌舞伎を愛する会にふさわしく松嶋屋さん三兄弟 が揃って出演して下さり、感無量のお舞台でございました。
これで先代の仁左衛門はんがいらっしゃったならと思うと胸が熱くなり、こみ上げて来るものがございます。
お三方皆々様にはいついつまでもお元気で素晴らしいお舞台を披露していただきたい。
心に残る素晴らしいお舞台をありがとうございました。
感謝申し上げます。
三、義経千本桜(よしつねせんぼんざくら)
仁左衛門
孝太郎
菊之助
猿弥
彌十郎
鴈治郎
『色気噺お伊勢帰り(いろけばなしおいせがえり)』及び 夜の部の記録は後日を予定しています。