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Channel: 乱鳥の書きなぐり
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『弾左衛門の謎 歌舞伎・吉原・囲内』芝居「助六」の意休における意味合いが詳しく描かれている。 塩見鮮一郎 三一書房 1997年

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    『弾左衛門の謎 歌舞伎・吉原・囲内』芝居「助六」の意休における意味合いが詳しく描かれている。 塩見鮮一郎 三一書房 1997年 P268



 本日、『弾左衛門の謎 歌舞伎・吉原・囲内』を読了。

 前半の2/5は ○タ頭である弾左衛門やその人物が存在した頃の時代的背景が書かれており、私にとってはあまりきょみが湧かなかった。

 しかし90ページを越す頃から歌舞伎や芝居こやの話に変わる。

 また、読み進めると、初代v、2代目團十郎の話や芝居のあり方、歌舞伎『助六』における髭の意休の意味合いなどが、台詞を通して事細かに説明されている。

 芝居の『助六』は役者を変えて複数回観ている非常になじみの演目であるが、このように深い意味合いがあったことは知らなかった。

 また現代では脇の相撲取り風に出てくる二人の役柄も、違う意味合いがあったことは知らなかった。

 おそらく、今は役者の方もそこまで事細かに知っている人は一部の素晴らしい役者を除いてはないのではないかと思う。

 又は演出や演じ方を恋に湾曲し、あるいは、今風にいえば差別的配慮を考慮しての舞台に変化させているのだとも感じられる。


 私は助六といえば松嶋屋さんの仁左衛門丈を思い浮かべるが、この役者さんや本家の成田屋さんなら、勉強されているのではないかと感じる。


『弾左衛門の謎 歌舞伎・吉原・囲内』を 芝居の『助六』の台詞や市議さを思い浮かべながら、丁寧に読んで観た。

 なるほどと納得する部分も多くあった。

『助六』は歌舞伎の中でも心がときめく名作の一つなので揚巻の美しさや重厚さと助六の心意気さ、心憎々しい意休、又それを盛り立てる周りの役柄の話の展開を王だけでも楽しむことができる。

 又、助六が『雨の五郎』でもある蘇我五郎と知る観客も多い。

 人それぞれの楽しみ方で、大変たのしめる心がときめく芝居だと感じる。


 しかし、今回『弾左衛門の謎 歌舞伎・吉原・囲内』で知った『助六』の意味合いは、いい意味でも悪い意味でも衝撃的であった。

 上にも書いたが、助六と意休の言葉のやりとりなどが事細かに思い出される。

 今一度、原作で読んで楽しみたい。


 今回も簡単な記録のみにて失礼申し上げます。







 1997年初版 四六判 P268

 “謎と秘密につつまれた弾左衛門の出自。江戸中期の歌舞伎界、芸能興行権をめぐる対立、抗争に焦点をあて、弾左衛門の姿を浮き彫りにする”(帯文)

 目次:
 はじめに

第一章 出身地の火打村
 {第一節 現在よりも過去/第二節 由緒書第一項/第三節 摂津国池田/第四節 火打村/第五節 火打村起源/第六節 多田源氏/第七節 東光寺とエミシ/第八節 肉食禁止と皮革/第九節 検非違使と河原者/第十節 別所とエタ部落/第十一節 鎌倉と京都/第十二節 様式と装飾/第十三節 弾左衛門と頼朝/第十四節 弾左衛門と家康/第十五節 鎌倉弾左衛門と江戸弾左衛門/付節 「鎌倉弾左衛門」}

第二章 勝扇子事件
 {第一節 からくり師・小林新助/第二節 京から江戸へ/第三節 宝氷山誕生/第四節 江戸の芝居小屋/第五節 小林新助顔見世/第六節 革買治兵衛の登場/第七節 悶着/第八節 町奉行での新助口上/第九節 弾左衛門/第十節 新町囲内/第十一節 四代目弾左衛門/第十二節 対決、その一/第十三節 対決、その二/第十四節 対決、その三/第十五節 対決、その四/付節 弾左衛門提出の「証文」について}

第三章 勝利宣言『助六』
 {第一節 『日記』のてんまつ/第二節 市川団十郎/第三節 市川団十郎の『助六』/第四節 髭の意休/第五節 意休とはだれか/第六節 意休考証史/第七節 子分の描写/第八節 エタと吉原/付節 その後

〈参考資料〉
資料1 勝扇子/資料2 差上申証文事

 おわりに

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