三池崇史監督×市原隼人「極道大戦争」 三池監督3★/5 市原隼人さんの演技力、目力、間の良さ、迫力。大道具や看板の重白さは絵巻物の露店商売や店の蓮の暖簾の意匠を見るが如く丹念に見ておきたい。
ヤクザ映画はあまり馴染みのない私だが、なんとなく「極道大戦争」をみた。
真面目なような漫画のような本映画は、映画が進むにつれて市原隼人さんの演技力、目力、間の良さ、迫力に感心し、最後まで見てしまった。
ヤクザ映画なのか、バンパイヤなのかゾンビなのか現代版カンフーなのかよくはわからないが、色彩とと構図は非常に繊細で重厚。そしてうまい役者たち。
また、大道具や看板の重白さは、絵巻物の露店商売や店の蓮の暖簾の意匠を見るが如く、丹念に見ておきたい。
ちょっとした小馬鹿なコメディではなく、監督が何を表現したいのか、そして観客を楽しませることに徹した映画の一つだと感じた。
ヤクザバンパイアにかまれた人間はみんなヤクザ化!「極道大戦争」
(C) 2015「極道大戦争」製作委員会
三池監督の得意なヤクザ映画にバンパイアという異色の要素を加え、さらに三池流ブラックユーモアを散りばめた完全オリジナルストーリーのエンタテインメント大作。主人公で入れ墨に憧れる敏感肌のヤクザを市原が演じ、ヒロイン役に成海璃子、組長役にリリー・フランキー、若頭役に高島礼子を起用。さらに、青柳翔(劇団EXILE)、渋川清彦、優希美青、でんでんらが、それぞれの個性を生かしたヤクザ演技を披露するほか、インドネシア発のバイオレンス映画「ザ・レイド」シリーズのヤヤン・ルヒアンが参戦する。
このほど公開された予告編では、実はヤクザバンパイアだった親分・神浦(リリー)の血を受け継ぎ、ヤクザバンパイアとなった主人公の影山(市原)が、カタギの人間をかんでしまったことで平和だった商店街に“ヤクザ感染”が拡大。夫婦ヤクザ、女子高生ヤクザ、看護師ヤクザといった“カタギ・ヤクザ”が、影山を筆頭とした“リアル・ヤクザ”と死闘を繰り広げるさまがハイテンションで描かれており、謎の刺客“KAERUくん”も異彩を放つ。主題歌を担当するロックバンド「KNOCK OUT MONKEY」が本作のために書き下ろした新曲「Bite」も、型破りな本作の世界観を盛り上げている。
主演を務める市原は、「脚本をめくり終わった瞬間、『なんだ、これはっ! こんなぶっ飛んだ作品は初めてだ!』と思いました」と、その衝撃を告白。アクションシーンに備えて肉体改造を行っており、「現場をフルで楽しめるように、心と体の準備を万全にして挑みました」と気合い十分で撮影に挑んだ。見どころのひとつである、ヤヤン扮する“狂犬”との対決シーンでは、クランクイン前に来日したヤヤンとともにトレーニングを行い、撮影前に数回手合せをしたことで、迫力のあるアクションが実現したという。
本作を自身の原点回帰と位置づける三池監督は、「『極道大戦争』を見て「えっ、なんだこれ!」「こんな映画作って怒られないんだ!」って思ってもらえると、この映画も役に立ったと言えるかな(笑)。こういう作品を好きで観てくれる人たちには本当に楽しんでもらいたいと思いますし、特に若い人たちや子どもたちに見て欲しいと思っています」とコメント。「何十年か経って苦しいことがあった時に、『極道大戦争』の市原隼人だったら、こんな時はこうするんだよね、って思い出してもらいたいですね」と語っている。