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「世界のブックデザイン2017-18」奈良県立図書情報館より『劇解説 中国伝統演劇の伝授と解説の意 著者:不可軍・王暁映 デザイナー:一曲関民・蒋茜』(4枚)

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   「世界のブックデザイン 2017-18」奈良県立図書情報館より
   『劇解説 中国伝統演劇の伝授と解説の意 著者:不可軍・王暁映 デザイナー:一曲関民・蒋茜』



 

 


 奈良奈良県立図書情報館へ行く機会があったので、いつも通りに企画展示を楽しませていただいた。

 今年も「世界のブックデザイン」で色々工夫された優れた書物を拝見させていただいた。

 心は学生時代にタイムスリップ。

 高校、大学生の頃京都丸善や京都書院(他にも京都三条駸々堂や古本屋)に通い詰めた日々が懐かしい。

 特に『檸檬』の梶井基次郎 で有名な京都丸善は洋書が多かった。

 一階には直輸入もののバーバリーや高級万年筆などが置かれていたが、それを横目に階段をかけ上がる。

 二階三階の本のフロアやちょっとした展示室を数え切れないくらいに楽しんだものだ。

 時々は購入する高価な洋書。だが、学生だった私は毎回は買うことができな買った。

 丸善の店員の方は紳士的で、私どものような学生に張り付くこともなく、自由に書物を楽しませてくださいました。


 奈良情報図書館の企画展示は毎回工夫されているが、「世界のブックデザイン」は丸善よりは全体に明るく展示の仕方もゆっくりと楽しめる工夫がされている。

 奈良情報図書館に行くとあの暗くて重厚で楽しかった空間の丸善という異空間を思い浮かべ、懐かしむ。「世界のブックデザイン」のコーナーに置かれたデザイン的にこれまた砂らしく機能性に富んだ立方体のダンボールの椅子に座り込んで、ゆっくりと展示物を手にとって楽しむことができる。

 また、奈良情報図書館は中学生の頃応接室でお茶を頂戴した京都書院の香りがする。

 紙の質感や匂い、ほんの重みや綴じ方や表現法や構図を手にとって納得するまで味わうことができる貴重な展示だと感じる。


「世界のブックデザイン2017-18」では特に中国の本に注目した。

 二時間余り楽しんだ展示物の中で、ほとんどは中国の本を手に取り、アムステルダムの本なども少し見た。

 
 まず手にとったのは中国の茶の本。

 これはたまたま企画のチラシにも写真が載せられていた。
 


 私は今回、大変美しい本を手にとってみることができた。

 こちらも中国の京劇(或いは川劇関係)の書物。

『紅楼夢』ほか、中国の馴染みの話で舞台化されたものが程よく取り扱われていた。

 
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  劇解説
  中国伝統演劇の伝授と解説の意
  著者 不可軍 王暁映
  330元 
  ISBN 978-753-449-886-4
  デザイナー 一曲関民 蒋茜
  印刷所 上海雅昌芸術印刷有限公司

『劇解説 中国伝統演劇の伝授と解説の意』は美しい色合いの厚めの和紙が和綴(和書とは違うと地方で、中国綴じとでも読んでおきたい)十冊ほど。

 演目ごとに閉じられた十冊が、さらに、見たこともないような三角綴じ(?)の連続といった美しい綴じ型で心を魅了する。


 本は基本、和紙本来の美しいアイボリーの色合いが貴重で、品良く、手に取ると暖かさを増す。

 ページを開くと、和紙本来の美しい紙に、日本の浮世絵でいう『からずり』で演目の名が浮かび上がる。

 私はこの美しい表現に心を奪われた。


『からずり』で演目名で無題をお思い浮かべ心ときめく私。

 さらにページを開くと、小さめの紙にその演目の絵が描かれている。

 こちらも程よく気品がある。

 
 さらには舞台での主役の舞台衣装を身にまとった役者の写真。

 そのあと、薄めの和紙が四枚繋がる髪の中二枚に、舞台衣装を解剖図のように広げた写真。

 薄い四枚の紙は左右のみで綴じられ(糊付けられ)、本から四枚分を宙に浮かせることができる。

 いわば折り紙形式で、本のアーチを作れる状態。

 当然だが、こういった部分をペーパーナイフで切ることなかれ!(笑)である。


 舞台上の役者の移動を点線で描かれているページが多い。

 衣装や演目を思い浮かべながら、点線の足取りを想像してみる。

 なんと楽しい書物ではないか!!!と、多少の舞台好きの私は興奮する。


 演目の台本が描かれている。

 こちらも薄紙。

 裏の文字が薄く浮き出て読むことができ、表面に皿の描かれた文字は色も濃く鮮明。

 裏の文字色は、赤と黒だが、薄い和紙の色で柔らかな色調の文字にうつり、表面に書かれた文字で全体を引き締める。

 こういった技法の本も、恥ずかしながら私は初めて見た。

 大変美しい台本部分である。

 試しに薄紙の台本の裏側を覗いて見たら、当然のことながら文字は左右対称に描かれている。

 中から見ても、美しい。

 ここの部分も二つ折りの和綴じ(中国綴じ?)


 ところどころに大変通さな役者の解説写真がある。

 例えば役作りにおける「眉」の意味合いの部分では、役者の太く強く惹かれた眉の化粧をした役者の顔が部分的に載せられている。

   『椛扇』

       怠是
         有吊眉
         郡一瞬間
           好像
         人物
           就附艶了

   


 そして中国語で演劇や演目の解説。中国語をとってなかったことを悔やむ。もっとも丹念に字を追って読む時間はなかったが。


 役者は想像より若い方であった、

 何気ない普段使いの顔と演目の役柄の顔が、交互に、いく枚も載せられていた。

 この表現も、多少演劇の好きなものにとってはたまらなく魅力的である。


 そして最後まで見終えると和紙本来の美しさと重さと厚さを感じる。

 最後に、また三角の美しい中国綴じを感じ、このようなとてつもなく素晴らしい本を手にとって楽しめたことに感謝する。


 近くに本書の箱が置かれていた。

 外はシンプルだが、中には中国語でびっしりと詞書がされてた。

 帯も箱の中に置かれていた。帯の色は真っ黄色。

 和紙色で、おそらく箱に巻かれていたであろう帯は黄色。

 洒落ている。


 和紙本書の一冊めの見開きには330元と書かれていたが、箱には680元と記されていた。

 中国元のレートは/ここ最近は16円/元なので 5280円(330元)、10880円(680元)ということになる。

 このような美しい本が気軽にたん締めるのかと思うと、おそるべし素晴らしい中国である。

 次回中国に行く機会があれば、本屋や古書店により、気に入った本があれな購入してこようと思った。

 ただし、本書はどうあがいても手に入りそうにない><


 久々に美しすぎる本を手に取り、興奮した。

 帰宅後、家族に本書の話をして楽しんだ。

 本好きの家族は楽しそうに話す私を見て、目を丸くして笑った。


 最後に

 関係者の皆様に心より感謝申し上げます。

 また、拙ブログにお越しいただいております多くの皆様に御礼申し上げます。

 誠にありがとうございます。



 




  以下の情報は、なら図書情報館公式HPより ▼



 「世界のブックデザイン2017-18」2019年4月9日(火)~5月30日(木)
 「世界のブックデザイン2017-18」開催   奈良県立図書情報館 3階ブリッジ

 毎年3月のライプツィヒ・ブックフェアで公開される「世界で最も美しい本コンクール」の入選図書とともに、日本、ドイツ、オランダ、スイス、オーストリア、カナダ、中国の7つのコンクールで入賞した、優れた書籍約200点を展示します。
 展示書籍は実際に手にとってご覧いただけますので、ブックデザインおよび造本技術の水準を実感していただけます。

 日本におけるこの展示会は、当館と東京(凸版印刷株式会社 印刷博物館 終了)のみの開催です。
 出版点数が少ないなどの理由で、入手不可能な本があるため、展示書籍は入選作すべてではありません。また、一部、手にとっていただけない本があります。

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