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『近松心中物語 いのうえひでのり×堤真一×宮沢りえ』 1★/5★ 秋元松代作 いのうえひでのり演出2018年1月 新国立劇場 中劇場

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 『近松心中物語 いのうえひでのり×堤真一×宮沢りえ』  1★/5★

   秋元松代作 いのうえひでのり演出2018年1月 新国立劇場 中劇場






『近松心中物語 いのうえひでのり×堤真一×宮沢りえ』を悶々とした気分で見終えた。テレビで助かったと胸をなでおろす。

 この気持ちは私だけかと思い、「近松心中物語 評価」で検索すると、酷評が多い。

 その一つには「ここ数年見た舞台の中で、一番ひどかった。」というものさえあった。


 何がそれだけ悶々とさせたかというと、まずテーマが定まってないので、何を言いたいのかがわからない。

 梅忠に絞るのか、与兵衛お亀にマトを当てるのか、当時(江戸時代に)流行った心中に焦点を当てるのかが、わからない。

 いわばバラバラで、なんでもあり。

 要するに、脚本家の頭の整理がなされてない。


 衣装が悪い。

 梅川の着物や鬘や飾りが貧弱。

 宮沢りえさんの化粧も顔色が暗く、良からぬ身請けの話が持ち上がり狂わないの街を朦朧と歩く姿は、その店一の遊女梅川であるのかよたかであるのか迷ってしまうほど。

 もうしこし艶やかにするべきであろう。


 加えて、梅忠の道付きの場の中米の着物が暑苦しい。

 おまけに、堤真一さんの赤茶のどうらん(?)の化粧が暑苦しく、演技も雪深き吹雪まいたる冬とは真逆の暖かなお顔で演じられていたので、番狂わせを味わった。


 道行きで現れた二人は菰(こも)を使わず、破れがさであった。

 破れた傘の骨の間から二人に顔が見え、一瞬斬新だとは思った。

 だが、一般的に菰(こも)を使い理由としては次のように考えられる。

    二人の決意
    辛き旅路
    寒さをしのぐ
    身(顔)を隠す
    舞台における美的演出
    菰(こも)という意味合い

 武士上がりのお子もさんは剣菱の菰(こも)を使ったと言い伝えらている菰(こも)。

 梅忠は破れがさよりも、一般的な酒の菰(こも)を使った方が、似合うと柑橘がそこは演出家のお考え(笑)であろうから、致し方がない。

 
 陰影を出した布を使った吹雪の表現演出と効果音は良かった。

 谷間の深きゆきを表現下切り立つゆきを布で描いたのも良かった、

 しかし、堤真一さんの演じ方は、季節は秋であったのが残念。

 期待をしていた俳優だっただけに口惜しかった。


 新口村の場はなかった。

 ラストの二人の心中は、定型のように赤い布が使用された。

 だが、弱い。

 二人への共感とあわれむ心が生じない。したがって、涙初全くでなかった。


 動きも表情も弱い心中。

 このような弱い梅忠の最後は、小芝居とて見たことがない。

 いやいや、小芝居でうまい劇団もいくつかは知っている。


 おまけに、効果音が下品に入り、恐ろしく大きい。

 これでは小芝居の演歌が入るのとは変わりがない。


 無論歌舞伎と比較して、残念だと言っているのではない。

 この芝居はこの芝居である。

 しかし至る所で、粗が目についた。


 脚本や演出は感心しなかった私であったが、小池栄子さんの演技は体操共感を覚えた。

 あの台詞の言い回しは、夫を愛している自分に酔いしれる女房、そして、心中ものに憧れ心中にも憧れ妄想する女の発生を巧みに現しておられた。

 江戸時代、心中が流行り、心中物(脚本や芝居)や流行り、実際に憧れて真珠するといった人が多かったという。

 心中は言い方を変えれば、名誉なことでもあったという。

 心中に的を当てるのであれば、一例として中村勘三郎さんの『浮かれ心中』のように心中を軸に儚さを描いたような作品に仕上げる方が、良いであろう。


    …と、知人が申してましたか?

    申してましたような、申してませんでしたような…

    野の仏笑うような 笑わぬような〜♪  (南こうせつ 歌)

 

 



 


 


 データーは全てwowow公式HP



 蜷川幸雄の名作が、人気演出家いのうえひでのりの手でよみがえる。堤真一、宮沢りえ、池田成志、小池栄子ら豪華出演陣が現代に問い掛ける究極の愛の物語。

 物語は2組の男女の心中を描いているが、今作では忠兵衛を映像作品でも大活躍の堤真一、遊女・梅川を第25回読売演劇大賞の大賞と最優秀女優賞を受賞した宮沢りえが演じ、死に向かって疾走する愛を現代の観客の胸に問い掛ける。もう1組は夫婦でありながら心中の道を選ぶ与兵衛とお亀。心中に乗り気ではない与兵衛に池田成志、心中に憧れるお亀に小池栄子という芸達者な2人が会場を爆笑の渦に巻き込む。限りなく美しい舞台の後ろにある切なさ、人間くささが浮き彫りになるいのうえ版は、まさしく現代の「近松心中物語」だ。


 蜷川幸雄の名作が、人気演出家いのうえひでのりの手でよみがえる。堤真一、宮沢りえ、池田成志、小池栄子ら豪華出演陣が現代に問い掛ける究極の愛の物語。
劇団☆新感線主宰・いのうえひでのりが、新演出で挑む秋元松代作の「近松心中物語」。「近松心中物語」といえば1979年の初演以来、蜷川幸雄の代表作として名高い不朽の名作。蜷川は、この作品が様式化されることを潔しとせず、終生衰えることなく作品に情熱を傾け続けた。その情熱を胸に挑んだいのうえは伝説の作品をダイナミックによみがえらせた。

【ストーリー】
 飛脚屋亀屋の養子忠兵衛(堤真一)は、店の奉公人が拾った封書に1分の金が入っていたため、差出人である遊郭の主人・槌屋平三郎(小野武彦)を訪ねる。堅物で遊郭など興味のない忠兵衛は、封書を手渡すとすぐに店を出るが、そこで遊女の梅川(宮沢りえ)と遭遇。一目惚れした2人は無言で見つめ合う。そして、忠兵衛は取り付かれたように梅川を追い求め店の中へと消えて行った。
 ある日、忠兵衛は梅川に身請け話が持ち上がったことを知る。自分が先に名乗り出たいものの、自由になる金がない。そこで、手付金だけでも借りようと幼なじみである小道具商傘屋の婿養子・与兵衛(池田成志)を頼ることに。同情した与兵衛はなんと店の金を手渡す。槌屋で無事手付金を支払い安堵したのもつかの間、忠兵衛と梅川に新たな難題が。一方、店の金に手を付けたことで家を出た与兵衛と彼の後を追う妻のお亀(小池栄子)。逃避行へと向かう男女2組の運命は?


収録日・収録場所
2018年1月31日/東京 新国立劇場 中劇場


出演
堤真一
宮沢りえ
池田成志
小池栄子
市川猿弥
立石涼子
小野武彦
銀粉蝶

スタッフ

秋元松代
演出
いのうえひでのり

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