某fヒットねスクラブの友人知人紹介強制勧誘が凄まじいことを家族に告げると、家族は自分の通うスポーツクラブに連れていってくれた。
フロントで鍵を受けとり、ロッカールームへ。
その後マシーンルームに足を運んだ。
部屋に入ると、女性数人に対して、男性は5人程度。
それぞれがそれぞれの時間を楽しまれている。
夫が、サイクルマシーン(?)へと誘導してくれる。
使い方を教えてくれ、少し戸惑っていると、右横の女性が、具体的な使い方を教えてくださった。
親切だ。
初めてなので、短時間で自転車を降り、次の機械へと進む。
夫が付き添ってくれてはいるものの、どれをこなしていいかわからない。
そのうち、ベテランらしき男性が、
「あの人に聞いたら教えてくれるよ。」
と、女性スタッフを指差した。
女性スタッフはすぐに駆けつけてくださり、5機の使い方を親切丁寧に教えてくださった。
マシーンは手強かった。
今月から通っていたフィットネスに比べ、負荷が大きいい。
負荷を一番小さくして機械に挑んだが、それでもマシーンは私に挑発し、あざ笑う。
これまでのマシーンの負荷が軽トラだとすると、夫が連れてくれたクラブのマシーンは、きらびやかにネオン等を飾り付けた大型トラックであった。
私は一通り満足がいくまで、いや、ヘトヘトになるまで、機械で遊んだ後、マットへと向かう。
ストレッチのビデオがかかっていて、座ストレッチの方法が流されていた。
私は機嫌よく、こわばった体をマットになじませるように努力する。
おそらく周りから見ていれば、古雑巾を二、三昧重ね合わせて絞ろうとするが、絞りきれない痛々しさが感じ取れたのではないだろうか。
そんな運動音痴の私を見て、運動音痴の夫がにこやかに見守ってくれる。
コーチが、肩こりに効くという機物の良いストレッチを教えてくださった。
親切な方だ。
座ストレッチと立ストレッチが一通り終わる。
気がつけば、夫は、腹筋マシーンと格闘していた。
少し座って待って板が一向に止める気配はない。
時間が勿体無いや!とばかりに、私は初めに楽しんだサイクルマシーンに座る。
またもや、コーチが駆けつけてくださり、親切に指導をしてくださった。
腹筋で満足のいった夫が、真横まで駆けつけてくれる。
私は消費カロリー目標までこなして、マシーンを降りた。
疲れた。
山登りのその日の工程を終え、テントをはり夕食後、しを投げ出したような感覚を思い出す。
トレーニングルームを出てすぐのところには、ベンチがあった。
ヘトヘトの私に、夫はたたみ込んで言う。
「さ!プールに行こう。」
私は体裁良く断った。
断ったつもりだが、泳ぎは好きな私である。
魔が差した。
二人は男女それぞれ別のロッカールームに向かう羽と相成った。
ロッカールームでは、40歳くらいの女性が、初めての私に声をかけてくださった。
色々なお話をしてくださり、その間約二十分。
一通りのお話を聞き終えたところで、私は夫の待つプールサイドへと急ぎ向かった。
シャワーを浴びる。
すぐにプール監督に当たられていた女性コーチが、駆けつけてくださり、コースの利用法を教えてくださった。
一つのレーンは、歩行。
別のレーンは50メートル
また、25メートル泳ぎきりのコースや、途中で足をついても良いコースも用意されていた。
他にも説明していただいたが…忘れた。
私は、途中で足をついても良いコースで楽しんだ。いや。苦しんだ。
久々のプールも、手強かった。
昔スピードの遅かった平泳ぎで5メートルを泳ぎ切った。
だが、スピードが出たはずのクロールは無残だった。完敗。途中で、足をついた。
自分では若いつもりであったが、体の衰えは、深刻であった。
心臓がパクパクばくばくと高鳴った。
待つで能楽のカケリの小太鼓のようなリズムの心臓音。
つらいがしかし、心地の良い響きであった。
久々のプールは、100メートルで抑えた。
近日中に足をつくことなく、25メートル50メートルと泳ぎきる体力と技術を身に付けたいというジレンマにかられた。
夫が待っているのので、髪も乾かさずまとめあげ、帽子を被ってロッカールームを出た。
帰宅後、ドライヤーで髪を乾かす。
幸いプールの塩素がきつすぎなかったせいか、髪は痛まなかった。
毛をストレートに伸ばし、しばらく休む。
小一時間体に休養というおやつを与えた後、今月通っているフィットネスクラブに向かう。
夕刻のフットネスクラブは、人が少ない。
たまたま、フットネスクラブの同じ派手な柄のショッキングピンクのTシャツを着た人達ばかりが、運動を楽しんでおられる。
毎度感じていたことがある。
同じTシャツを着て別とコンベアーの流れ作業のように運動をこなすその場の女性群の姿は、一瞬、何か不可思議な宗教のようにも感じられるのが不思議だ。
私は女性らしいデザインの、辛子色のシンプルなTシャツを着ていた。
私にはあのような大きな柄物のTシャツを身につけることはできない。
何か場違いな気がする。
一通りの運動をこなし、その日(昨日)はストレッチは行わず、コーチの元へと向かう。
七月いっぱいで辞める旨を伝えると、手続きの予約日のための予約が必要と、まどろっこしい事をおっしゃる。
理由を尋ねると、すぐに上司のコーチが駆けつけ、対応をしてくださった。
「解約をお急ぎですか?」
「急いではいませんが、今月末日で、解約します。手続きは今日踏んでください。」
色々と詮索し、多くの質問をされてきたが、
「別に理由はございません。」
の一点張りで、その場をしのいだ。
私の退会は固い意志であると見てとったリーダー的存在のコーチは、タブレットを手に、解約の手続きを進めてくださった。
今月末の解約ですので、末尾までの運動可能な旨を再確認した。
最後の日にカードを返却約束を交わした。
コーチ曰く、
「後二日早ければ、全額返金できたんですよ。」
と。
私は、全額返金などさらさら考えたこともなかったし、これだけ楽しませていただいたのだから、お代金は支払うのが当然であると伝え、礼を述べた。
逆に、今月いっぱいで解約するにあたっての300円ばかりの手数料がどうして要らないのかとお尋ねしたほどだ。
これに関しては、コーチもわからないらしい。
女性ばかりのフィットネスクラブの解約確定を胸に、私は昼間家族と楽しませていただいたスポーツジムに向かった。
フロントの女性やスポーツコーチは覚えていてくださった。
入会したい旨を伝えると笑みは増し、手順良く手続きを踏んでくださった。
写真を撮ってくださるという。
しかしながら私は、化粧もせず、辛子色の無地のTシャツであった。
一瞬ためらったが、この歳で化粧をし直して来るという神経も、若い方からみれば痛いかもしれない。
サァ、どうにでもナレィ!まな板の、鯉デェ!
私は諦め、構えられたタブレットに向かって作り笑顔を投げかけた。
スタッフ曰く、
「目鼻立ちは大きくてはっきりされたお顔なので、素顔OKですよ。」
と。
慰められているのか、
私って、労られてるの?と、自分が愛おしくなった。
入会書類を手に帰宅した私をみての家族の喜びは格別であった。
これから、毎回は一緒に通うわけでもないのに、何か嬉しかったらしい。
私も、
『これで夫婦お互いに、元気でいられる時間が少しでも伸びるかしらん。』
と、ほくそ笑んだ。
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