影向の松(ようごうのまつ)
能舞台の後ろに描かれている影向の松は、このブログでも何度となく取り上げさせていただいております。
能楽だけでなく歌舞伎の舞踊の松羽目物(能狂言を元にした舞踊)の場合にも舞台の後ろには松が描かれています。
春日大社の影向の松は、おん祭りの「松の下式」の際、影向の松に向かって一例をしてから、芸能を行います。
この様子は『春日若宮御祭礼絵巻』にも描かれており、オリジナルが奈良国立博物館で展示されたことがあります。(『続(?)日本絵巻物大成』「春日権現験記」(縁起絵巻)にもあり)
一説によれば、能楽は春日大社が発祥の地とも言われています。(『春日大社の全て』 花山院 弘匡氏)
春日大社の影向の松が、能舞台の後ろに描かれている松だと描かれたものが多く、そのように思っていました。
しかし、これにも諸説ございまして、元は、松以外にも描かれていたとか、春日大社とはがギラナイトまで行った大胆発言説までございますが、わたくしは確証していません。
Wikipediaを調べていますと、影向の松と呼ばれるものが春日大社以外にもありましたので、一応載せておきます。
しかしながら、わたくしは春日大社が好きで、参道を通り、影向の松を見るたびに一礼し、心をときめかせていることも付け加えておきたいと思います。
なのでわたくしにとっての影向の松は、春日大社の参道右上にある影向の松に他ありません。
影向の松
影向の松 - 奈良県奈良市の春日大社境内に生育しているクロマツ。春日権現験記にも記されていたが、平成に入って枯れたため現在後継樹が育成されている。
影向のマツ - 東京都江戸川区東小岩の善養寺境内に生育しているクロマツの巨木。樹齢は600年以上、国の天然記念物。
影向の松 - 三重県伊賀市の善福院境内に生育している松。現在三代目。
影向の松 - 岡山県倉敷市の不洗観音寺境内に生育しているクロマツ。推定樹齢200年。天然記念物(倉敷市指定)。
影向の松の参道を挟んだ向かい側に、夕日に垂らされた松が凛としてそびえ立っていました。背景の電柱などはご愛嬌として、お許しください。
この松、もっと高くそびえておりましたが、幹がまがりくねり、自然にできた盆栽のようで美しいお姿でした。
夕日が木肌を照らし、かなり男らしい松でございましたことを付け加えておきます。
春日大社 一之鳥居を入って 参道左側 (影向の松 向かい側)
春日大社は砂ずりのふじや植林された藤や春日山の山藤が美しく、有名です。
そして春日大社にいつ行っても見事なのが、松。木肌には髪が宿っているように感じます。
ここの松には、神様がお宿りになられているようにさえ感じます。
歩いていると、心は清らかになる思いがいたします。春日大社の近くを歩くと、神聖なる神域に触れさせていただいているといった気がします。
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