『鯉つかみ』
昭和45年
実川延若
脚本:福森久助,2世瀬川如皐(じよこう)
友人宅で『鯉つかみ』(録画)を見ました。
『鯉つかみ』は初めて観る演目ですが、近年、東京で愛之助さんが演じられたとか…
実川延若とは随分違う演じ方のようです。
『鯉つかみ』は大変おかしみのある一言に言えばあほらしい歌舞伎らしい筋書きでした。
清水で見初めて…みたいな出だしは中世の話にも多く残ります。
そこから面白おかしく場が移ります。
単純明快で各場面で自分なりに想像力を広げ遊べます。
『鯉つかみ』のような展開もあっけらかんと明るくて、これもまた良し!と感じました。
世界大百科事典 第2版の解説
こいつかみ【鯉つかみ】
歌舞伎狂言。主人公が鯉の精と水中で格闘するさまを主題とする作品の総称。本水を用いた夏狂言の一趣向として歓迎された。三升屋二三治(みますやにそうじ)著《紙屑籠》に〈始て水船にて作り物の鯉をつかひしは,元祖菊五郎より始りて,親松緑(初世松助)つたへて梅幸(3世菊五郎)へゆづる〉と記すように,元来は尾上家の〈家の芸〉として伝えられた。脚本としては,福森久助,2世瀬川如皐(じよこう)作,1813年(文化10)7月中村座初演《短夜仇散書(みじかようきなのちらしがき)》の〈真崎稲荷の場〉で3世菊五郎の大工六三郎が鯉つかみを演じたのが著名。