『廓文章〜吉田屋』伊左衛門：仁左衛門　夕霧：玉三郎　平成25年歌舞伎座

　（イスタンブール）





　『廓文章〜吉田屋』片岡仁左衛門　平成25年5月･歌舞伎座
　　 歌舞伎座こけら落とし〜最新舞台〜


　歌舞伎座こけら落としの『廓文章〜吉田屋』を観る事ができた。
　歌舞伎を見始めて四十年近く二なるので、『廓文章〜吉田屋』はこれまで多くの役者さんで何度も観ている。その都度感激している好きな演目の一つ。
　しかし今回は平成25年5月･歌舞伎座　仁左衛門丈の『廓文章〜吉田屋』の記録をしたい。

　伊左衛門　仁左衛門
　夕霧　　　玉三郎

　まことにおめでとうそうらいける！
　わたくしにとっては、たいへん嬉しい組み合わせ。
　
　餅つきの場は歳末の新町の郭の雰囲気を導入。
　
　そして　古風な演出　さしだしの火にあおられて、花道より仁左衛門丈登場
　絶世の美男子、伊左衛門

「今日の寒さを」
　のれん口までいき、
「鼻に扇」

　今回の仁左衛門丈が扮する伊左衛門は『名作歌舞伎全集　第七巻』「廓文章」を忠実に守り、演じられていた。
　しょっぱな、深編笠紙衣の伊左衛門扮する仁左衛門丈はいつもの仁左衛門丈より一層声高な口調。

　三枚目の心を演じる二枚目の味を見事にあらわしておられた。

　深編笠脱ぎ、お茶目な伊左衛門
　今か今かと夕霧を待ち
　夕霧登場お後よろしく。

　時は正月
　座敷には餅花
　襖は金地の梅
　床の間には鶴の掛け軸、伊勢エビを飾られた鏡餅
　中井が持って来る松を飾った盛り丸餅
　まことにおめでとうそうらいける！と思いきや
　伊左衛門すねてかわいげのある悪態をつき
「なんで蹴られた」と焼き餅をつき
「萬歳傾城花魁」と
　高坏つきつき　躍る萬歳
　これぞ　大和萬歳なり
　まことにおめでとうそうらいける！

　紙衣まで着ていた伊左衛門
「御勘当もゆるりまする」　　　　　
「夕霧様の身請けもさらりと埒（らち）があきました。」
と聞き、

　舞台に千両箱六つ
　
　　一両が十六万円として
　　千両箱六つで
　　十億円
　　え？　計算間違いかな^^;;
　
　いやぁあ
　アップテンポで男前で茶目っ気で決めのある仁左衛門丈の伊左衛門
　家だったので、キャーキャーいいながら、でれでれして見てしまいましたわ。

　おまけに縁起がいいし、お正月らしいし（上演は5月）、ハッピーエンドだし、
　まことにおめでとうそうらいける！

　昨日観たのに思い出しただけでにやけまちゅるわ！
　
　


　「御勘当もゆるりまする」の【ゆるります】はとけるみたいな意味。

　
　記録はあくまでも私の感想です。
　筋書きは書いておりません。
　ごく一部　『名作歌舞伎全集　第七巻』「廓文章」引用。
　
　
　
　　
　データーは、衛生劇場公式HP
本編尺：80分
製作年：2013年
出演：片岡仁左衛門　片岡秀太郎　坂東秀調　片岡千之助　大谷桂三　坂東彌十郎　坂東玉三郎

情緒溢れる上方和事の名作。上方美男の伊左衛門を仁左衛門が、恋人夕霧を玉三郎が演じた当代最高の顔合わせの「吉田屋」は、こけら落とし五月興行の一番の眼目だったお芝居。二人を取り持つ太鼓持（たいこもち）に左衛門の孫千之助が出ているのも見どころ。
伊左衛門は勘当されて、みすぼらしい紙衣（かみこ）姿になりながらも夕霧に逢いたいと大坂新町吉田屋へやって来る。若旦那のことだから、みすぼらしい身なりでも上品。主人喜左衛門夫婦のはからいで、伊左衛門は座敷へ通される。夕霧が小走りで姿を見せるが、伊左衛門はすねてつれなく当る。恋する二人ならではのたわいない痴話げんかなのだ。そこへ、勘当が許された知らせと千両箱が届き、伊左衛門は夕霧を身請けすることになる。
（2013年/平成25年5月･歌舞伎座）