104:『義経地獄破り―チェスター・ビーティー・ライブラリィ所蔵 (甦る絵巻・絵本) 』影印(9枚)
義経地獄破り―チェスター・ビーティー・ライブラリィ所蔵 (甦る絵巻・絵本)
甦る絵巻・絵本 [大型本]
小峯和明/解説 宮腰直人 解説
クレア・ ポラード 訳
潮田淑子 訳
チェスター・ビーティー・ライブラリィ 監訳
勉誠出版
2005/6
85ページ 定価 5800円
先日『大江山絵巻―チェスター・ビーティー・ライブラリィ所蔵』を読み興味深かったので,伝承 酒呑童子を倒した源頼光の子孫であるとされる源義経続きで、義経地獄破り―チェスター・ビーティー・ライブラリィ所蔵 (影印) を読む。
そして『義経地獄破り 』を選んだもうひとつの理由としては弁慶も出てきて,好きな『勧進帳』『安宅』を思い浮かべるんですもの…ね!
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『義経地獄破り 』の各顔で興味深いのは 義経はあくまでも白塗り化粧。弁慶他みんなが青。
鬼をを打ち倒してからも義経はやっぱり白塗り化粧。その他は歌舞伎と同じ肌色。しかし弁慶は青のまま、パターン化されている。
(各絵に登場する修験そうの顔は,白塗り…後半で説明)
本書は文、絵共に面白く、文字が美しい。
(こんな風に続けたが、本書は絵巻物ではない。)
武器はつくりたいが鉄話し…と言うことで、地獄から釜の蓋を盗み出す。
武器や鎧甲鍛冶屋など,当時の人びとの職人に対する関心を伺わせると解説にあった。
鍛冶屋職人の中に京都三条の小鍛冶が出てきた。
能楽『小鍛冶』は何度か聴いた演目のひとつだが,格好良くて好きだ。
(アハハ、話しがそれたが、解説にも能楽『小鍛冶』は記されていた。)
(こんな風に続けたが、本書は絵巻物ではない。)
写真の鬼は酒呑童子。
ここ、わたくしの好みとして、外したくない(笑)
地獄の門を押し倒し、一部の鬼はつぶれる。
鬼の首実検 (おお!歌舞伎『寺子屋』『一谷嫩軍記〜熊谷陣屋』などを思い浮かべる…と話しが脱線)
八大地獄
(こんな風に続けたが、本書は絵巻物ではない。)
義経、弁慶たちは一日に三度、身が燃え苦しむ。
西方の阿弥陀如来様にお祈りする
義経、極楽往生
最後、熊の権現が出てきて修行僧にとくとくと教えを説く。
熊の権現が山伏姿(茶の地色に車輪柄 左手には剣)で、顔・足・手全ては鮮やかな藍色
修行僧は白ぬり化粧出美しい顔立ち 獅子舞風の下履き?に上は黒羽織 首には仏?からいただいた赤い襷(お守り?)
この修行僧は葉締めの絵から最後まで絵のどこかにあらわれることが多い。
最後夢から覚めたという設定だが,本書『義経地獄破り 』にはその絵は無い。
浅間権現に託しての締めくくり
他
当時は富士が三峰で描かれることが多い。
『熊坂』『小鍛冶』など能楽が見たくなる。
『大江山絵巻―チェスター・ビーティー・ライブラリィ所蔵』でも同様だが、『義経地獄破り―チェスター・ビーティー・ライブラリィ所蔵』でも 鬼たちはかわいらしく単純に描かれた場面が多く、人物たちは写実的であった。