『源平布引滝〜実盛物語』
出演:市川團十郎 中村福助 市川右之助 中村種太郎(現・歌昇) 坂東巳之助 中村種之助 澤村宗之助 片岡市蔵 市川段四郎 中村魁春
2011年
82分
カラー
團十郎の大らかな芸風と風格ある優しさが滲み出る捌き役。※2月3日に亡くなった市川團十郎を悼み出演作品をお届けする。 源氏再興を願う木曽義賢の妻・葵御前は、琵琶湖のほとりに暮らす九郎助夫婦に匿まわれている。そこへ平家方の斎藤実盛と瀬尾十郎が、葵御前の産む子の検分に来た。追い詰められた九郎助夫婦は、漁の折に拾った白旗を握った片腕を袱紗に包み葵御前の産み落とした赤子だと差し出すが瀬尾が訝しがる。しかし密かに源氏に心を寄せている実盛は、瀬尾を言いくるめ、瀬尾が去ったあと事情を語り始める…。(2011年/平成23年1月・歌舞伎座)
時代物とは?武士や公家社会をドラマにした作品。江戸幕府はその時代の事件の劇化を禁じたので江戸時代より前の時代を背景としている。
昨日、知人が帰えられてからのこと。
仕事から帰宅した家族とふたりでお酒をいただきながら、あらかじめ録画済みの『源平布引滝〜実盛物語』と映画『うなぎ』を見た。
まずは,お芝居の記録。
平成23年1月・歌舞伎座、團十郎さんの最後の芝居となった『源平布引滝〜実盛物語』
演目が好きなので、楽しむことができた。
この役、品格とお優しさと引き締まりが必要だと感じ、ある意味、難しいだろうなと毎度見ていて思う。
わたしは芝居鑑賞は全くの素人で感想を述べるなどと言ったことはさけたい。
この役柄は仁左衛門丈も何度も演じておられる。
子供を見る目,話しかける目は目尻が下がるほどのお優しく、ほほえましい。
表情豊かで、
「けんごでくらせよぉ」
の言葉にも、思いやりと不風格を兼ね備えられている。
今回テレビで拝見させて頂いた『源平布引滝〜実盛物語』も素晴らしい役者さんたちに固められ、面白く見ることができた。
市蔵さんはこういった役柄にしてはいつもよりも白塗りで、きれいだった。また口調がいつものように素晴らしく,聞き惚れた。
今回の舞台で驚いたのは、段四郎さんが首を切られる場面。
今回のテレビで見た限りでは、ぎこぎこぎこと首の骨まで砕ききられる様子がリアルに描き出された。
『源平布引滝〜実盛物語』は劇場でもテレビでも何度も見ているが,こんなにリアルで重厚な切られ方は初めて見た。
だいたいにおいてわたしが見た舞台としては、孫に手柄をたてさせる方にほぼ目が向く想定で演じられていることが多いように思う。
この点において,もう一度平成23年1月・歌舞伎座の『源平布引滝〜実盛物語』を見たいと考えている。