映画『真木栗ノ穴』 3,8★/5 2008年 監督・脚本:深川栄洋 原作:山本亜紀子 『穴』 西島秀俊 キムラ緑子
映画『真木栗ノ穴』をみた。
全体を通して、楽しい時間を過ごすことができたが、生ぬるいのと最後の締めが甘い。
官能小説を依頼されたことにより、妄想はエスカレートし、現実と夢中の判断がつかずに幕を閉じる。
官能小説執筆ということもあり、小学生或いは中学生の頃に読んだ富島健夫著の『純子の実験』を思い浮かべる。
残念ながら富島健夫の小説は『純子の実験』のこの一冊限りしか読んでないが、「作家の家に上がり込み、作家は始め子供ある会をしていたが、待たせられた時間でおひつ(?)のご飯をこそいで平らげたところにk作家が感動し、、、云々」といった内容であったと記憶している。
この小説は、小学生或いは中学生の頃の私にとっては衝撃的であったので、今も鮮明に覚えている。
起承転結が明確で、『純子の実験』は大衆小説とはいえ、言いたいことがはっきりと伝わる。
その点で、工夫を凝らした結末を迎えたように感じさせる映画『真木栗ノ穴』は、編集者の表情や行動などの最後がくどい。
また、「いかにも」のおそらく鎌倉のきり通しであろう箇所の多採用や ガス(霧)は、物語をひどく説明的にしていた。
或いはみすぼらしいアパートの近くの地層や、そこを四角く掘った場面がくどく用いられていたが、その辺りも説明的でうるさい画面となった。
「穴」がテーマの軸となっている。
「穴」は橋などと同じく「境界」の意味が含まれている。
また、「穴」は民話の一つのテーマでもある。
「見るな」の禁止事項が破られ話は展開する。
これは日本に限らず諸外国で話の一つのパラーントされている。
「穴」は安部公房氏をも思い浮かべさせる。
『壁』などはその典型例の一つであろう。
なので、「穴」というテーマは消して新しいものではないことも付け加えておきたい。
一見『真木栗ノ穴』といえば重厚そうに感じるが、新鮮味はない。
劇中(映画の中)で書いている官能小説のタイトルは『穴の草子』
穴から覗くだけでなく、えらく卑猥なタイトルをサラルト画面に映し出す。
あまりにも露骨すぎて、苦笑。
江戸時代だったかに『富士人穴草子(?)』だったかが確かあったような気がするが、こういった洒落心が無いといえよう。
しかし上にも書いたように、全体を通して考えるならば、そこそこに楽しめる映画である。
西島秀俊さんも、キムラ緑子さんもよくやっておられたよ感じる。
なので高評価の3,8/5とした。
今回も見たとい簡単な記録だけで失礼致します。
以下はウィキペディアより引用
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製作:江口誠
企画・プロデューサー:倉谷宣緒
監督・脚本:深川栄洋
原作:山本亜紀子 『穴』 (角川ホラー文庫)
脚本:小沼雄一 プ
110分
真木栗勉:西島秀俊 水野佐緒里:粟田麗 浅香成美:木下あゆ美 佐々木譲二:北村有起哉 沖本シズエ:キムラ緑子 水野貞男:田中哲司 赤坂栗生:小林且弥 細見貢:尾上寛之 秋田健:大橋てつじ 森本飽夫:利重剛 佐々木譲二の彼女:佐久間麻由 杉村一成:谷津勲 柴田実:永田耕一 飯田時子:松金よね子
築40年の安アパートに暮らす作家の真木栗は、官能小説を依頼されるもアイデアが浮かばない。そんなある日、隣の空き部屋をのぞくことが出来る穴を見つけた真木栗は、そこに若い女が引越してくることを妄想し、それをもとに小説を書き始める。やがて、その空き部屋に本当に女が引越しきて、その生活をのぞき見る真木栗は女の虜になっていく……。