『昔く桃太郎発端話説』3 上 表紙 を写す 山東京伝 作 ; 春朗 画 板元通油町 つたや
それ赤本(あかぼん)ハ一ツ趣向(しゆかう)を種(たね)として。萬(よろづ)の笑ひ(わらひ)とぞなれりける所(いたり)に鳴(なく)
雀(すゞめ)ハ。糊(のり)の為(ため)に舌(した)を切(きる)れ穴(あな)に住(すむ)蟹(かに)ハ、甲(かう)を破る(いらる)悪老婆(あくばゞ)
のふさ/\しきハ力(ちから)をもいれずして、重き(おもき)葛籠(つゞら)をうごかし、桃太郎(もゝたらう)の
てんこち。此なきハ、目(め)にみへ叔鬼神(おにかみ)もあわれと思ハる鼠(ねずミ)の嫁(よめ)入ハ
男女(なんによ)の中(なか)をも和(やわ)らげ、御子様方(おこさまかた)の御心(おんこゝろ)を慰(なぐさ)むるは赤本(あかほん)なり。これや
ひさかたの雨(あめ)にしてハ乙姫(おとひめ)にはじまりて猿(さる)の生肝(行ききも)をぬらしてあら
かねの土にしてハ、狸(たぬき)の船におこりて、兎(うさぎ)の手柄(てがら)をみせ、彼(かれ)善に
すゝめ、是(これ)悪(あく)をころす。かくてぞ紅粉皿受皿(べにざらうけざら)の砕(くだ)けたるをあつめ
鉢被姫(はちかつぎひめ)の古(ふる)きをたづねて、世々新(あたら)しく桜木(かくらぎ)にのぼせ、花咲(はなさき)萬
ぢゞの灰(はい)をあふぎ、ちゆんどんぢゞを悪(あく)まざらめや
浦島太郎月
山東京傳 (印)
まざらめや(混ざらめや)
『昔く桃太郎発端話説』上,中,下 / 山東京伝 作 ; 春朗 画 通油町(江戸) : つたや, [出版年不明] 早稲田大学図書館 (Waseda University Library)
上,中,下 / 山東京伝 作 ; 春朗 画
早稲田大学図書館 (Waseda University Library)
『昔く桃太郎発端話説』上,中,下 / 山東京伝 作 ; 春朗 画 通油町(江戸) : つたや, [出版年不明] 早稲田大学図書館 (Waseda University Library) 『昔く桃太郎発端話説』2 上 表紙 を写す 山東京伝 作 ; 春朗 画 板元通油町 つたや 『昔く桃太郎発端話説』3 上 表紙 を写す 山東京伝 作 ; 春朗 画 板元通油町 つたや