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映画『SADA 』2,6★/5 戯作・阿部定の生涯 1998 132分 監督 大林宣彦 脚本 西澤裕子 出演者 黒木瞳 椎名桔平 嶋田久作 岡鶴太郎 石橋蓮司 根岸季衣 他
大林宣彦監督の映画『SADA 』を見た。
黒木瞳主演ということなので期待をしていたが、出だしの定14歳の設定で、観客側の私は随分と撃沈した。
阿部定は14歳のまだ男性を知らない女性という設定である。
いくら割り引いて、14歳という歳に黒木瞳を頭の中で設定しても、無理がある。
顔も体も、あらわになった脚もそこには初々しさは無く、完全にに成熟した大人の女があらわに画面を覆い尽くした。
歌舞伎役者の例えば片岡仁左衛門丈であれば、70歳をとうに超えられていても、そこは20代前半のまめまめしい男性でも二枚ねの男性でも、所作や姿勢や言い回しで演じ分けらていらっしゃる。
ところが今回の映画は、黒木瞳で芸術作品に仕上げようとされたのかわ知らないが、所作も、言い回しの、メイクも姿勢も、顔も体も脚も無理であった。
特に、阿部定の性格における役作りと若さを出すための言い回しと声の発生が、見苦しかった。
だが、さすがの黒木瞳。そこそこ歳を重ね、男性を知り尽くした演技は色艶があり、うまかった。
上にも書いたが、監督は黒木瞳にこだわり、作品を手がけたようである。
確かに面白みのある場面も多々あった。
しかし開幕してしばらくの見ている側の年齢的抵抗拒否と、
「♪ さだは、、、、、、」
という女性の声の演歌(?)のような下品な歌が流れるたびに、小芝居を思い浮かべて、これまた撃沈した。
監督は緒形拳が出演されていた頃の面白みのある映画を作りたいのか、それとも小芝居のような下品な人情物を作りたいのか、その立場がはっきりせず、
「♪ サバダバダ〜〜、、、、」
といったこれまた言葉遊びに到達せぬ曲を聞かされ、悶々とした気持ちで幕を迎えた。
この映画は、今一度作り直すと、少しは見られた映画になるのではと、老婆心ながら感じた次第である。
石橋蓮司は格好が良く、印象深かった。歌舞伎で言えば思わず大向こう!といったところか。
根岸季衣は1970年代の舞台を思い起こさせ、興味深かった。
この映画の役柄として格好のよかった椎名桔平を最後の最後まで待ち望んでいる観客の私がいたが、虚しく、期待はずれであった。
椎名桔平の素晴らしいと感じさせる印象が強すぎて、阿部定の印象が薄れたというべきか、椎名桔平の無駄遣いというか、、、
何れにしても、あの役の椎名桔平をもっと見て痛かった観客の新女医をなおざりにして、話は進み、残酷にも幕を閉じたのである。
今回も記録のみにて、失礼致します。
SADA 戯作・阿部定の生涯
1998年
132分
監督 大林宣彦
脚本 西澤裕子
出演者 黒木瞳 椎名桔平 嶋田久作 ベンガル片 岡鶴太郎 石橋蓮司 赤座美代子 根岸季衣 池内万作 坂上二郎