映画『キツツキと雨』 4,1★/5 2012 監督 沖田修一 役所広司 小栗旬 古舘寛治 高良健吾 臼田あさ美 黒田大輔 森下能幸 高橋努 嶋田久作 平田満
映画『キツツキと雨』を見た。
監督 沖田修一の距離感覚が素晴らしい。
役所広司、小栗旬の温泉での距離を保つ場面もさることながら、海苔を食べる速度。
距離感覚を壊す役割の、ずけずけと踏み込む古舘寛治。
全てが計算され、丁寧に作られた映画『キツツキと雨』は、映画の文法にのっとった秀作であり、最後の役所と息子(高良健吾)との距離の接近。
この後、監督(小栗旬)を思う木こり(役所)のふとした回想と、木こりになった息子との食事の場面で幕を閉じる。
息子との食事には、力強く、ウインナーを巻く海苔が映し出される。
監督(小栗)に、
「こんなものしかないが、、、」
と無造作に食卓に出した、海苔。
小栗と共に興じた将棋。
将棋盤は、100年以上育成された杉の丸太を切ったもの。
息子とその将棋盤で将棋を興ずる。
息子曰く、
「なんか、ベトベトしてるなぁ、、、」
その将棋盤に似た監督用椅子は、最終章の役所の回想で海辺に移る。
山から海に拠点を写した監督(小栗)は、海にも守り神の用に椅子を持って新作品に挑んでいた。
昨今、最終段階の幕を閉じる場面で言葉でのくどい説明が多い映画やドラマが多い。
『そこまでいらんでしょう。』
と内心突っ込んでいることが多いが、映画『キツツキと雨』は美しい映像でくどくなく幕を閉じたため、素直に受け入れることができた。
ここでも、監督沖田修一氏の距離感覚の素晴らしさが伺われる。
私はこの映画は好きだなと感じた。
今回もネタバレなし。簡単な記録だけで失礼致します。
監督 沖田修一
役所広司 小栗旬 高良健吾 臼田あさ美 古舘寛治 黒田大輔 森下能幸 高橋努 嶋田久作 平田満
2012
ある日、山村に現れたのはなんと映画の撮影隊!迷惑も顧みず、我が物顔で村人を巻き込んでゆく撮影隊に村はとまどい気味。ひょんなことから撮影に巻き込まれ、無理やり手伝わされる羽目になった、きこりの克彦。一方、新人監督の幸一は、持ち前の気の弱さで、現場をまとめきれずにパニック寸前。森の中で出会った、きこり60歳と新人映画監督25歳。映画の撮影を通して、克彦は映画の面白さに引き込まれ、持ち前の機動力で生き生きと活躍を始め、幸一は克彦と接することで成長していく。そして二人のふれあいは、村と撮影隊の奇妙なコラボレーションを生み出してゆく・・・。[俳優・監督セレクション]