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『梁塵秘抄』 筑摩書房『日本詩人選 22』 西郷信網解説  339「我を頼めて来ぬ男 角三つ生ひたる鬼になれ」

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『梁塵秘抄』

 

 以前は岩波の文学大系でかじりかけていたが、今回は、筑摩書房『日本詩人選 22』から『梁塵秘抄』を見てみる。

 解説者は、西郷信網。

 

 

 我を頼めて来ぬ男

 角三つ生ひたる鬼になれ さて人に疎まれよ  

 霜雪霰降る水田の鳥となれ さて足冷かれ  

 池の浮草となりねかし と揺りかう揺り揺られ歩け

 (339)

 筑摩書房『日本詩人選 22』 P.8写す

 

 

 

西郷信網とは

 西郷 信綱(さいごう のぶつな、1916年1月3日 - 2008年9月25日)は、日本文学者。

 横浜市立大学名誉教授。上代文学・古代文学専攻。

 

 大分県生まれ。

 東京帝国大学英文科に進学したが、斎藤茂吉の短歌に傾倒して国文科に転じ、1939年3月卒業。

 丸山静とともに「アララギ」派の短歌に傾倒する。

 

 戦後、鎌倉アカデミアの創設に参加し教授、その後横浜市立大学教授を長く務め、定年後法政大学教授、この間ロンドン大学教授も務めた。

 最初の著作『貴族文学としての万葉集』では、防人歌、東歌(あずまうた)など庶民の歌とされていたものが、貴族歌人の仮託でしかないと論じた。

 その後国文学の世界ではある程度受け入れられているが、国語教育の世界では今なお浸透していない。

 日本文学協会に所属し、歴史社会学派の立場で研究を多数発表した。

 1990年、『古事記注釈』で角川源義賞受賞。1995年、文化功労者。

「九条科学者の会」呼びかけ人を務めていた。

 2008年9月25日逝去。92歳没

 

 

『梁塵秘抄』(りょうじんひしょう)

『梁塵秘抄』(りょうじんひしょう)は、平安時代末期に編まれた歌謡集。

 今様歌謡の集成。

 編者は後白河法皇。

 治承年間(1180年前後)の作。

 

 

 後白河法皇は少年のときより、今様と呼ばれる歌謡を好んだ。

 歌の上手を召して多くの歌謡を知ったが、死後それらが伝わらなくなることを惜しみ、書き留めて本にした。

 また、歌謡の歴史などについて、別に口伝集十巻を残した。

 書名の「梁塵」は、名人の歌で梁の塵も動いたという故事より、すぐれた歌のこと。

 

 本編は、巻第一の断簡と、巻第二しか知られていない。

 歌の数は巻第一が21首、巻第二が545首、あわせて566首である。

 ただし重複あり。

 実際の数はもう少し減る。

 

 巻第一の最初には「長唄10首、古柳34首、今様265首」

 完本であれば巻第一には309首が収められていたことになる。

 多くの歌が七五調四句や、八五調四句、あるいはそのバリエーションの調子を持つ。

 しかし五七五七七の調子もあり、歌の形態は様々である。

 

 口伝集は各ジャンルの歌に関して書きつづったものだと考えられている。

 現存するのは巻第一のほんのわずかと、巻第十、それに巻第十一から第十四のみである。

 

 巻第十一から巻第十四には、実際の歌い方が書かれている。

 しかし歌い方の伝承は絶え、現在解読は困難である。

 佐佐木信綱によれば、これらは後白河法皇自らの撰によるものではないという。

 

 のちに一つにされ「口伝集巻第十一」以下の題名を付けられたと考えられていない。

 もしこれが『梁塵秘抄』に加わるとすれば、総数は20巻以上となり、『本朝書籍目録』の記述に矛盾する。

 

 現在発行されている古典全集の多くは、巻第十一以降を省き、口伝集の巻第一と巻第十のみを収めている。

 巻第十一以降を見ることができるのは、一般的には岩波文庫版だけである。

 

 

 ウィキペディア 参考


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