明恵上人像
アラン『定義集』4 「文明 civilisation」(他のところではよく吟味もされず、特に驚きもなく受け入れられている実践を、不可能にする。例えば、奴隷制、子どもの去勢、拷問、魔法使いの処刑。)
アラン『定義集』 P.48より抜粋
文明 civilisation
他のところではよく吟味もされず、特に驚きもなく受け入れられている実践を、不可能にする。
ほとんど考えられないものにする法、慣例、意見、判断の総体。
例えば、奴隷制、子どもの去勢、拷問、魔法使いの処刑。
文明の意味はありふれた道徳が最良というのではなく、ただ、慣習があるモラリストたちの精力的な活動によって変化させられた、ということである。
従って、我々の西洋文明が戦争を暖和しないこと、政治的熱狂を鎮めないこと、したがって、苦痛がまだ、説得手段として再いうされていることに人々は驚く。
例えば、都市への空爆によって一国の抵抗を粉砕しながら、政治上の敵を奢(ほふ)りながら、しかし同時に、拷問の古い形を風習の変化によって廃止している。
全く、当たり前のようにーーー。
そのことは、文明を判断することのない盲目的慣例として確立するところから出てくる。
それには利点も確かにあるが、厄介な問題もなくはない。
アラン『定義集』
モーリス・サヴァン刊行
神谷幹夫 翻訳
岩波文庫
青656-4
訳者 神谷幹夫
北星学園大学・文学部・教授
アラン『定義集』1 (フランス国立図書館にある木箱の中に、アランの手稿の264枚のカードがある 訳者覚書より) アラン『定義集』2 (言表の単純な厳密さによって静謐な徳、イデオロギーとは無関係の、論争では得られない徳、即ち全ての真の省察の原型であり、源泉である徳を、獲得している。) アラン『定義集』3 (アランはいう、…哲学者が目指しているものは、自然的で自分に嘘をつかないものだけを感じ取ることである。哲学者の欠点は、避難する傾向が強いこと、そして懐疑を解くことを好むことだ。) アラン『定義集』4 「文明 civilisation」(他のところではよく吟味もされず、特に驚きもなく受け入れられている実践を、不可能にする。例えば、奴隷制、子どもの去勢、拷問、魔法使いの処刑。)