Kyoto
映画『Strangers of Patience 美しすぎる裸体』5★/5 2018 ロシア ヴラディミール・アレニコフ監督・脚本 コンスタンチン・ラヴロネンコ マヤ・ショーパ
日本では映画の題名は、『美しすぎる裸体』。
女性の演技は素晴らしく、また美しい顔と体であったが、どうもこの題名では、テーマが違う。
原題は『Strangers of Patience』
Strangers of Patienceとは、
Strangers→ strangerの複数形。(見)知らぬ人、 他人、 客
Patience→ 忍耐
Strangers of Patience→ 忍耐の客
Strangers of Patienceは映画の意味がしっくりと行く。
影でマンネリ化したと云われる写真家は老人に変装してまで、個展会場に足を運び、第三者の感想に耳を傾ける。
真の芸術を追求したい、最後に一つ偉業を残したい衝動にかられている最中、美しい被写体として満足の行く女性を見つける。
女性は、ろうあ者であった。
カメラマンは、彼女に声をかけ、どうにか、アトリエに誘う。
肉体関係を持たぬ男に、彼女は涙する。
時間がたつにつれ、カメラマンの芸術意欲は掻き立てられ、彼女に対する芸術の真の要求はエスカレートする。
半ば監禁状態は、手錠をかけ、長い鎖に繋がれ完全にとらわれの身になる。
男は女の髪を切り、連日、撮影を続ける。
男は、神父に質問を投げ抱える。
「ミケランジェロは、真の芸術を追求するために、人を殺したと思いますか?(要約)」
また、
「真の芸術を追求のためには、罪は、許されますか?(要約)」
アトリエに帰ったカメラマンは、美しいと言っていた彼女の爪をとぎ、
「サァ、これからが、本当の仕上げだよ。(要約)」
と、ナイフを取り出す。
ここで怖くて、見ている側の心を恐怖に貶める。
だが、美しく磨きあげられた、爪。
「君が悪いんだ。」
と手錠をかけられ、庭の木に鎖に繋がれる。
雨が降り、これから自分はどうなるのだろうと言った恐怖におののいた彼女の姿を、カメラマンは作品として捉えていた。
通販で購入した男に届いた手話の本で、彼は
「あいしてる」
だけを覚えた。
ここから警察が来るまでは、ネタバレをせず、あえて控えたい。
パトカーにつれていかてるカメラマン。
ひと事件落ち着き、彼の暗室で見た自分の写真。
それはヘッドスキンで、日本の赤の着物(肌着)。
庭で雨に当たり、くたくたな不安げな顔つきとなった、本当の芸術作品であった。
彼は、究極に彼女を追い詰めた姿を作品として完成したかったとのと同時に、彼女を心底愛していた。
写真を見て気づいた女は、パトカーを追いかけていく。
振り返る男の笑みには、
「本当に愛してるんだ。」
と言った崇高な笑みが残された。
この映画はしゃれている。
さすが!ロシア映画だ。
この映画は、私は好きだな。
原題/Strangers of Patience
制作年/2018 制作国/ロシア 内容時間(字幕版)/104分監督 ヴラディミール・アレニコフ 製作 ヴァディム・ゴリャイノフ 製作 ヴラディミール・アレニコフ 脚本 ヴラディミール・アレニコフ 撮影 アリシャー・カミドコジャエフ
役名 役者名 アンドレイ コンスタンチン・ラヴロネンコ マリーナ マヤ・ショーパ