『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 12 高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門
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12
大もん。手ふりの先供はい/\/\/\の勢をも聞ず、与兵衛が。くりかけて打ツ
どろすな。出合ひやうに、馬上の武士のあハせ、上下かいぐ迄。ざつくとける
も時の運くりが、たちまち どろ付げは、いがいくりもしづまらず、与兵衛も
はつと おどろく所。それのかすなとかちの衆。はら/\と取まく中。相手ハ
川をわたりこし、小きくもくハしやも手ばし かく。参りの諸人にまぎれて
のく。かちかしら、山本山本森右衛門与兵衛が。両す手かいて、ぎゆつとのめらせ。
ひぎをせぼねにひしぎ付る。ア、お侍様、けがでござる。ごめん成ませ。おぢ
ひ/″\とほゑづらかく。こいつりよくハい者。お小袖馬具にどろをかけて、
けがといふてハすまぬ。面を上、いと首ねぢ上。ヤア、森右衛門与兵衛殿、おぢじや
人。ムム、与兵衛めかと。互にはつと おどろきが。ヤイ、おのれハ町人、いか様のち
じよくを取ても、きづにならぬ。旦那より、御ふちをかなふり。二字を首
にかけたる森右衛門とよべハ、いはを取ておきへ。おいと見たれバ猶たすけ
られぬ。討て捨る、立ませい。といふて、引立る。馬上の主人、
ヤイ/\/\。森右衛門見れバ、其方が大小の さや口がゆるさうな。ふと
大もん
大物(大者)
出演 役柄
花車お杉
芸者小菊
小姓頭小栗八弥
与兵衛叔父山本森右衛門
河内屋与兵衛
七左衛門女房お吉
娘お光
こいつりよくハい者。
こいつ、慮外者
慮外者(りょがい‐もの)
無礼者。ぶしつけもの。
おいと見たれバ猶たすけられぬ。
甥と見たれば、尚、助けられぬ。
『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作
近松門左衛門 1653-1724
高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門, [出版年不明]
22cm
竹本筑後掾正本
共同刊行:山本九兵衛(大坂高麗橋)
題簽の一部を欠く 虫損あり
和装
印記:文楽蔵,渡邉蔵書
渡辺霞亭旧蔵
早稲田大学デジタルライブラリー ヘ07 04334
『女殺油地獄』 1 上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門 早稲田大学所蔵と東洋文庫所蔵は、同じ。 『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 2 高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門 『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 3 高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門 『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 4 高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門 『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 5 高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門 『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 6 高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門 『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 7 高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門 『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 8 高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門 『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 9 高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門 『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 10 高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門 『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 11 高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門 『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 12 高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門