『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 11 高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門
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つゝと寄る足首。はけがおとがひけちかへられ。とうとまろんで
ころ/\/\、小川へだん、ふと、はねおとされ。是ハと取付かいしやる大じの命の
たま。ちゝみ程け付れ、とんびがかけた なむ三と。あきれて そらを
みち/\/\。はらばい/\ にげて、ゆくゑハなかりけり。友達なげさせ、見てい
ぬ男。さかさまにうへてむずとつかめバ、ふりはなし。ヤ、ちよこざいな
けさい六。ゑらぼね ひつかいて くれべいと。くらハす こぶしを請はづしてハぶち
返し。たゝき合ふ。なふ、気の通らぬ是どうそと。中へ小きくが
かせに入わけがた しやんすなし、大の身と。一ハしやがかこへハ、下女も手を
引立へだつ。そりやけんくハよと諸人のさハぎ。ちや屋ハ店をし廻ふやら。
二人ハぜつたいぜつめいのふち、組合つゝ、みのかた きしふみくづし、小川にどう/\
おちわれ。。もくずどろ土、まいごみ砂。互になげかけ、つかみかけ。打あひ
打付、あつかひ、手なき相手せうきこんくらべと。「みえ(三重)にけるをりも
あらめ 嶋上こほり高つきの衆の子。お小せうをのしゆつとう おぐり八弥。
馬上に上下御代参のかちわつたう。そろひばをりのこいかきに、ちゑのわの
ちよこざい 【×猪▽口才】 [名・形動]
小生意気なこと。こざかしいこと。
また、そのさまや、そのような人。
「我 (ひと) の仕事に邪魔を入れる―な死節野郎」
〈露伴・五重塔〉 [補説]「猪口」は当て字。
もう、十年も前の事になるだろうか。
松緑の襲名の頃、歌舞伎役者である四代目松緑は舞台で個性的な抑揚をつけて、
「ちよこざいなぁ〜〜!」
という台詞を多用していたことを思い出す。
そりやけんくハよと諸人のさハぎ。
そりゃ喧嘩よと、諸人の騒ぎ。
おぐり八弥 小栗八弥 (小姓頭小栗八弥)
『女殺油地獄』
行楽半分の野崎参り 舟で行く人、のんびり土手を歩く人で賑わう野崎参りの徳庵提。
油商河内屋の道楽息子与兵衛は野崎参りにさそって断わられた馴染みの遊女小菊を巡って、田舎客と喧嘩騒ぎをおこす。
来合わせた伯父で侍の森右衛門に手打ちになりかかる。
危うく難をのがれた与兵衛は、通りかかった同じ町内の同業豊島屋の女房お吉に、喧嘩で汚れた着物を濯いでもらう。
出演 役柄
花車お杉
芸者小菊
小姓頭小栗八弥
与兵衛叔父山本森右衛門
河内屋与兵衛
七左衛門女房お吉
娘お光
『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作
近松門左衛門 1653-1724
高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門, [出版年不明]
22cm
竹本筑後掾正本
共同刊行:山本九兵衛(大坂高麗橋)
題簽の一部を欠く 虫損あり
和装
印記:文楽蔵,渡邉蔵書
渡辺霞亭旧蔵
早稲田大学デジタルライブラリー ヘ07 04334
『女殺油地獄』 1 上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門 早稲田大学所蔵と東洋文庫所蔵は、同じ。 『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 2 高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門 『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 3 高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門 『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 4 高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門 『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 5 高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門 『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 6 高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門 『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 7 高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門 『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 8 高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門 『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 9 高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門 『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 10 高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門 『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 11 高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門