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『近松門左衛門全集』より第十巻 『日本振袖始』 近松門左衛門作

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『近松門左衛門全集』より第十巻 『日本振袖始』 近松門左衛門作

 市川猿之助第十二回春秋会公演『日本振袖始』を見て、序詞の一部を読む^^

 

 

『近松門左衛門全集』より第十巻 『日本振袖始』

 

P. 387

1オ

 

  日本振袖始 近松門左衛門

序詞

天照大神に奉らる、四(う)月、九(なが)月の神御衣(かんみぞ)ハ、

和妙(にぎたへ)の御衣(みぞ)広さ一尺五寸、荒妙(あらたへ)の御衣(みぞ)広さ

一尺六寸、長(たけ)各(おの/\)四丈(ぢやう)、髻(おんもと)糸(ゆし)頸(うな)玉手玉足の

緒(お)のくり返し、神代の遺風(ゐふう)末の世に、恵をおほふ

秋津民(たみ)、ちはや振袖広戈(ぼこ)の国、たいらけく御(しろしめ)す、

天照大臣(てんせうだいじん)の御孫(みまご)、天津彦火瓊ゝ

杵(あまつひこひこほのににぎ)の尊(みこと)と申こそ

 

 

 

神御衣(かんみぞ)

 《「かむみぞ」とも》神の着用する衣服。また、神にささげる衣服。かんみそ。

 

和妙(にぎたへ にきたへ)

 《後世は「にぎたえ」とも》織り目の細かい布の総称。また、打って柔らかくしてさらした布。にこたえ。→荒妙(あらたへ)

 「片手には木綿(ゆふ)取り持ち片手には―奉(まつ)り」〈万・四四三〉

 

荒妙(あらたへ)〘名〙

 ① 上代、織り目のあらい織物の総称。   一般に、藤、カジノキなどの木の皮の繊維で織った粗末な布をいう。⇔和妙(にぎたへ にきたへ)   ※万葉(8C後)五・九〇一「麁妙(あらたへ)の布衣(ぬのきぬ)をだに着せかてにかくや嘆かむせむすべをなみ」    ② 中古以降、麻織物のこと。   ※延喜式(927)七「阿波国忌部所レ織麁妙服(あらたへ)〈神語所レ謂阿良多倍是也〉」   ※即興詩人(1901)〈森鴎外訳〉謝肉祭「常の衣の上に粗𣑥(アラタヘ)の汗衫(じゅばん)を被りたるが」     髻(おんもと)    (新選語林)    髻(ケイ、キツ、キチ)  もとどり、たぶさ  髪を頭場で束ねたもの       頸 (ケイ、キョウ、)   (新選語林)    くび、のどくび、首の前の部分  喉頸(のどくび)     玉手玉足    手足で軽々と取り扱う。自由自在にもてあそぶ。    ※浄瑠璃・箱根山合戦(1660)四「犬ののどくび、ひっくわへ、一ふり二ふりふりけるが、後にはあしだまてだまに取、ついには犬をくひころし」     秋津民    東村山 秋津の民     ちはや振袖    在原業平が屏風絵を見て詠ったと云う、奈良竜田川の歌  ちはやぶる 神代も聞かず 竜田川 からくれなゐに 水くくるとは     戈    1 両刃の剣に長い柄をつけた大昔の武器。  「―をおさめる」(戦いをやめる)    2「鉾山車(ほこだし)」の略。ほこを立てて飾った山車(だし)。山鉾(やまぼこ)。     たいらけく   【文語】ク活用の形容詞「平らけし」の連用形。    平らけし(穏やかだ。 無事だ。)     御(しろしめ)す    1 領有なさる。統治なさる。▽「知(領・治)る(=治める)」の尊敬語。     出典古今集 仮名序「天皇(すべらぎ)の、天(あめ)の下しろしめすこと」     [訳] 天皇が天下を統治なさることが。

 2 知っていらっしゃる。ご存じである。▽「知る」の尊敬語。

  出典平家物語 九・木曾最期「さる者ありとは、鎌倉殿までもしろしめされたるらんぞ」

  [訳] そういう者がいるとは、鎌倉殿までもご存じでいらっしゃるであろうぞ。◆「しらしめす」の変化した語。     天照大臣(てんせうだいじん)    天照大神(あまてらすおおみかみ)を音読した語。    天照皇大神。    ※金刀比羅本保元(1220頃か)上「天照太神(テンセウダイジン)四十六世の御末、神武天皇より七十四代にあたり給へる御門也」     天津彦火瓊瓊杵尊(あまつひこひこほのににぎのみこと)   (日本大百科全書)    瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)    天照大神(あまてらすおおみかみ)の子の天忍穂耳尊(あめのおしほみみのみこと)が高皇産霊神(たかみむすびのかみ)の女(むすめ)である  栲幡千千姫(たくはたちぢひめ)(記、萬幡豊秋津師比売命(よろずはたとよあきづしひめのみこと))をめとって生まれた子で、稲穂の豊饒(ほうじょう)を示す穀霊神。    天孫降臨神話、木花開耶姫(このはなさくやひめ)の神話、火中出産神話の主人公だが、このうちで木花開耶姫の神話は、降臨した尊を笠狭崎(かささのみさき)で迎えた鹿葦津(かしつ)姫(吾田津姫(あたつひめ)ともいう)との聖婚のあとに挿入した別話である。    火中出産神話は、聖婚によってはらんだ御子(みこ)を国神(くにつかみ)の子と疑われた鹿葦津姫が、天神(あまつかみ)の子ならば災いなしと誓約(うけい)をたてて、彦火火出見尊(ひこほほでみのみこと)(海幸(うみさち)・山幸(やまさち)神話の主人公)以下の子を無戸室(うつむろ)の産屋(うぶや)を焼き火中で出産する神話である。[吉井 巖]    

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