今昔狐夜噺 12 (いまハむかし きつねのよばなし) 十丁裏 十一丁表 上、中、下 十返舎一九 画・作
早稲田大学図書館 (Waseda University Library)所蔵
https://archive.wul.waseda.ac.jp/kosho/he13/he13_01216/he13_01216.html
今昔狐夜噺 上,中,下 (合本)
十返舎一九 画・作 1765-1831
1冊(合3冊) ; 18cm
[江戸] : [榎本屋吉兵衛], [寛政9(1797)]
黄表紙
今昔狐夜噺十丁裏
ぜんてへこの
いくさハゆう
□(欠け)ふ成る行く
さ、□□(欠け)よしつね
ゆみをとり
おとして
これをとり
あげんと
てきのふね
まちかく
きたりて
めのまへの
てきをハ うち
とらずりのふみ
をとり あけんとす
てきがたもよしつね
にハかまわずたつた
いつてうの三、四人
がよつてかゝつて
かのやみをばい
やつている、ゆみもひきかた
あつちへひつぱり、こつちへ
ひつぱりしていたところが
とふじひがくれてしまつた、
今昔狐夜噺十一丁表
三人のてやいが
くまでをもつて
かのゆみをかきよせる
とみえしハ、よなべ
しごとのから
さほ、うちなり
うつたびごとに
ほこりたちて
おのづから
なみのたつ
やふにみゆる、
「これもちよつ
くらちよちと
このてやいを
かうならべて
ゆみながし
とハ、どで
ごんす」
と、き
つねの
ほうでハ
しやれて
い□(欠け)
ろふ
今昔狐夜噺十丁裏 下
く
まで
ござ
れ
あま
ざけ
しハ
じよ
今昔狐夜噺十丁裏 下
えい
くひき
あげ
てあ
つぱ
れ
の
とん
とい
わ
れ
たい
今昔狐夜噺十一丁表 下
「おもてきたのに
おさんどのハ
ねむるよウ
今昔狐夜噺十一丁表 下
「キャ/\
とつさんハ
よい/\
になつた
そふ
だ
今昔狐夜噺十丁裏
全体この
戦は、ゆう
□(欠け)ふ成る行く
さ、□□(欠け)義経
弓を取り
落として
これを取り上げんと
敵の船
真近く
来たりて
目の前の
敵をば 討ち取らずりの文
を取り上げんとす、
敵方も義経
には構わず、たった
一丁の三、四人
が寄ってかかって
かの闇をばい
やっている、弓も引き方
あっちへひっぱり、こつちへ
ひっぱりしていた所が
当時、日が暮れてしまつた、
今昔狐夜噺十一丁表
三人のてやいが
熊手を持って
かの弓を掻き寄せる
と見えしは、夜なべ仕事のから竿
打ち鳴り
打つ度毎に
埃立ちて
自から
波の立つ
様に見ゆる、
「これもちよっくらちょっと(ちょち)と
このてやいを
こう並べて
弓流し
とは、どうで(どで)
ごんす」
と、狐の
方では
洒落て
い□(欠け)
ろふ
今昔狐夜噺十丁裏 下
熊手
ござ
れ
甘酒
しわじょ
今昔狐夜噺十丁裏 下
えい
食い気(くひき)
上げて、
あっぱれ
の
とんと
言われたい
今昔狐夜噺十一丁表 下
「思て来たのに
おさんどのは
眠るよう
今昔狐夜噺十一丁表 下
「キャキャ!
とっさんは
よいよい
に成った
そふ
だ
てやい (てやい、てあい) (方言)
そんな人、連中、やつ
よいよい
手足がしびれたり、口や舌がもつれたりする病気の俗称。
今回も本文に義経の名が出てきた事だし
たいそう、
歌舞伎が見たいワイ!