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今昔狐夜噺 3 (いまハむかし きつねのよばなし) 一丁裏 二丁表  十返舎一九 画・作

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今昔狐夜噺 3 (いまハむかし きつねのよばなし) 一丁裏 二丁表  十返舎一九 画・作

 

早稲田大学図書館 (Waseda University Library)所蔵

https://archive.wul.waseda.ac.jp/kosho/he13/he13_01216/he13_01216.html

今昔狐夜噺 上,中,下 (合本)

十返舎一九 画・作 1765-1831

1冊(合3冊) ; 18cm

[江戸] : [榎本屋吉兵衛], [寛政9(1797)]

黄表紙

 

今昔狐夜噺一丁裏

こゝにみめ

ぐりのほ

とりに

くさの

いほ

むすび

よをのがれ

くらす

らくさいと

いふものあり

おゑどの

まんなかに

有、とやしき

ひきまハした

大あきんど

なりしが、あと

しきハむすこに

ゆづりて、そのみハ

わかいんきよの

みのうえ

なれバ、このところへ

ひきこもり、わかんの

ふみをのみ、ともと

して、たのしみ

くらしけるが、らく

さいあるとき、ほか

よりかへりが、どの

とのすきまかり

 

今昔狐夜噺二丁表

ふとのぞき

見けるに

めしたき

おとこの

こん八と

いふもの、よねん

なく、いろ/\の

しよもつをとり

いたし、ながめいたり

けるが、このこん八の

すがた、いつと

なく、きつね

のすがたと

なり、なをも

よねんなく

しよもつに

見入れたる

ありさま

らくさいも

おどろき

ながら

よふすを

なをも

うろぐ

 

今昔狐夜噺一丁裏 中央

鼠頭の異形が、草子を読んでいる

    「明徳(めいとく)を

     あきらか

     にすると

     いふ事がやふ/\と

      わかつてきた

      うれしや

         /\

 

 

今昔狐夜噺二丁表 下

門口で黒い羽織の男(楽斎)が中をのぞいている

     さてハこん八ハ

     きつねでおつ

     たか、どうりで

     よく

     あぶ

     らげ

     のさい

     はかり

     くり

     せた

     

   

 

   

 

今昔狐夜噺一丁裏

此処に見目

ぐりの辺り

草の

いを

結び

世を逃れ

暮らす

楽斎(固有名詞)と

云う者あり

お江戸の

真ん中に

有り、と(とある)屋敷、

引き回した

大商人

成りしが、後

敷きは息子に

譲りて、その身は

若隠居の

身の上

なれば、この所へ

引き篭もり、和漢の

文をのみ、友と

して、楽しみ

暮らしけるが、楽斎、

或る時、他

より帰りが、どの

との、隙間かり(ママ から)

 

今昔狐夜噺二丁表

ふと覗き

見けるに

飯炊き

男の

こん八と

云う者、余念

無く、色々の

書物を取り

致し、眺め居たり

けるが、このこん八の

姿、いつと

なく、狐

の姿と

なり、尚も

余念無く

書物に

見入れたる

有様、

楽斎も

驚き

ながら

様子を

尚も

うろぐ

 

今昔狐夜噺一丁裏 中央

鼠頭の異形が、草子を読んでいる

    「明徳(めいとく)を

     明らか

     にすると

     云う事が、ようようと

      分かって来た

      嬉しや

         嬉しや

 

 

今昔狐夜噺二丁表 下

門口で黒い羽織の男が中をのぞいている

     扨はこん八は

     狐でおったか、

     道理で

     よく

     油揚げ

     の菜

     ばかり

     喰り

     せた

一代目十返舎一九の『今昔狐夜噺』での言葉の特徴

下は一例

   すきまかり(隙間から)

   くりせた(喰りせた→食っていた)

 

明徳

 1 正しく公明な徳。
 2 《「大学集注」から》天から与えられたすぐれた徳性。

徳性

 徳義をそなえた品性。道徳心。道徳意識。

 

 

 

 


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