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仮名手本胸之鏡 上 6  四丁裏 五丁表

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仮名手本胸之鏡 上 6  四丁裏 五丁表

早稲田大学所蔵

https://archive.wul.waseda.ac.jp/kosho/he13/he13_01505/

仮名手本胸之鏡 上

山東京伝 作

歌川豊国 画

早稲田大学デジタル図書

通油町(江戸)  [蔦屋重三郎]

寛政11 [1799]

黄表紙

仮名手本胸之鏡 上 6  四丁裏 五丁表

 

 

 四丁裏上 立ち姿の女の持つ「堪忍」の袋(画)から出た言葉

      堪 忍

四丁裏上

人のいつしやう、まもる

べきものハ、かんにんの

二字なり、ものにかん

にんををせざれバ、ばんじ

につけて、そのみにわざ

わひ、おほしたとへバ

わがみ一てふのいかりに

のりて、かんにんぶくろを

きり、人をあやめるハわが心に

じやねんのてがはへて、

わがみをがいすがごとし、

ゆへにかんにんの忍(にん)の

しハ心のうへに

やいばと

いふもんじ

をかく

なり

かへす

/″\も

やぶるまじ

きハかん

にんの

なり

      堪 忍 は逃げていく 画

 

 

    四丁裏上 「堪忍」の袋を持つ立ち姿の女の言葉(画)

   「これハいかな

    こと、かんにん

    ぶくろのをが

    きれました、   

 

  四丁裏中 心に喉を掻っ切られ、立ちすくんだ男の言葉

 「かんにんふく

  ろのをが

  きれけれバ

  いまゝでみを

  まもりたる、かん

  にんども、いづくけか

  たちたる

 

      四丁裏中 心に喉を掻っ切られる男は錨(いかり)に乗って立ちすくんでいる

    いかりに

    のつてハ

    こゝろの

    おちつかぬ

    ものじや

    あゝめが

    まふ/\

 

 

五丁表 吉良上野介に切りつける浅野内匠頭を思い浮かべる姿を写す鏡の文字

     は   の かゞみ

     破忍之鏡

  

 

    五丁表下

    かんにん袋をきりて

    いへをうしなひ、みをほろ

    ぼすこと、此かゞみにうつす

    きやうげんのごとし

仮名手本胸之鏡 上 6  四丁裏 五丁表

右画 四丁裏

   歌舞伎『義経千本桜』「渡海屋」

   平知盛 (碇知盛(いかりとももり))を思い浮かべる^^

左画 五丁表 (鏡の中)

   歌舞伎『仮名手本忠臣蔵』三段目松の廊下事件

   吉良上野介に切りつける浅野内匠頭を思い浮かべる^^

    かんにん袋をきりて

    いへをうしなひ、みをほろ

    ぼすこと、此かゞみにうつす

    きやうげんのごとし

 

仮名手本胸之鏡 上 6  四丁裏 五丁表

 

 

 四丁裏上 立ち姿の女の持つ「堪忍」の袋(画)から出た言葉

      堪 忍

四丁裏上

人の一生、守る

べきものは、堪忍の

二字なり、ものに堪

忍を押せざれば、万事

に付けて、その身に災い

多し、例えば

我が身一丁の錨(いかり)に

乗り手、堪忍袋を

切り、人を殺(あや)めるは、我が心に

邪念の手が生えて、

我が身を害すが如し、

故に堪忍の忍(にん)の

忍(し)は心の上に

刃と

云う文字

を書く

也、

返す

返すも

破るまじ

気は堪

忍の

なり

      堪 忍 は逃げていく 画

 

 

    四丁裏上 「堪忍」の袋を持つ立ち姿の女の言葉(画)

   「これはいかな

    事、堪忍

    袋の尾が

    切れました、   

 

  四丁裏中 心に喉を掻っ切られ、立ちすくんだ男の言葉

 「堪忍袋

  の尾が

  切れければ

  今まで身を

  守りたる、堪

  忍ども、何處けか、

  たちたる

 

      四丁裏中 心に喉を掻っ切られる男は錨(いかり)に乗って立ちすくんでいる

    錨(いかり)に

    乗っては

    心の

    落ち付かぬ

    ものじや、

    あゝ、目が

    まうまう

 

 

五丁表 吉良上野介に切りつける浅野内匠頭を思い浮かべる姿を写す鏡の文字

     は (にん)  の かがみ

     破忍之鏡

  

 

    五丁表下

    堪忍袋を切りて

    家を失い、身を滅

    ぼす事、此鏡に写す

    狂言の如し

 

錨(画 いかり)

 怒り

破忍

 忍を破る

堪忍

 1 怒りを抑えて、人の過ちを許すこと。勘弁。「悪かった、堪忍してくれ」

 2 肉体的な痛みや苦しい境遇などをじっとこらえること。我慢すること。忍耐。

「且 (かつ) 力を尽し且―して時節を待つ可きなり」 福沢諭吉『学問の進め』

 

 


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