『浮世(東海道中)膝栗毛初編』 十四丁ウ
『浮世(東海道中)膝栗毛初編』(上 右から二冊め) 早稲田大学デジタル図書
ありしハ。かへつて鳥目(てうもく)の徳(とく)御きたりとおかしくて
一筋(ひとすじ)に親子(おやこ)とおもふおんなより
只(たゞ)二すじの銭(ぜに)もうけせり
斯口(かくゝち)づさミて。打わらひつゝかたむけし。箱(はこ)まくらも
耳(ミヽ)の根(ね)に。いたくもひゞく夜明(よあけ)の鐘(かね)、はやおもてに 八助郷馬(すけごうむま)の嘶(いなゝ)く声(こへ)
「ヒイン/\馬の屁(へ)のおとブウ/\/\。長もち。にんそくのうた
人「竹にさあ。引 すゞめハァなァんあへ。ヨイ/\。どうする/\
此内「弥次「北もおき出ればやがて膳も出。どふもいろ/\あれども。あまりくだ/\しけれバやすくす。それよりふたりハそこ/\にしたくして。こゝを