『元禄忠臣蔵 御浜御殿綱豊卿』は、なぜ『望月』なのかを探るために。 7
暮れのことだっただろうか。
つい先日のこと。
親切な方に、文庫本に真山青果の 『元禄忠臣蔵 御浜御殿綱豊卿』が出版されていると教えていただいた。
そこには、元々の謡曲は『望月』ではなく、『石橋』であったと記されていたという。
私は、文庫本の『元禄忠臣蔵 御浜御伝綱豊卿』は読んでないので定かではないが、今一度松竹座の案内などを確かめてみると、そこには『望月』と書かれていた。
しかし、原作では、『石橋』であったのかもしれないと後ろ髪を引かれる。
私は真山ものが苦手なので、読むに至らないのが残念である。
親切な方のおっしゃるように、元『石橋』であったが、面を使うために、『望月』に変更されたのかもしれない。
確かに『観世流続百番集』で『望月』をみると、直面(ひためん)であり、一部布で顔を覆っている。
髪も『石橋』のように百毛ではなく、『望月』では歌舞伎の『元禄忠臣蔵 御浜御殿綱豊卿』のようにファッション性が『石橋』とはまた異なる。
のちに歌舞伎で、謡曲変更したとしても不思議ではない。
『岩波講座 能・狂言 能鑑賞案内』、『望月』を弄っていると、338ページに次のように説明されていた。
「獅子」が舞われる曲として『石橋』がある。それは、獅子口の面をつけた獅子そのものの舞であるが、これに対して本曲(『望月』)は、人が芸能として獅子を舞う。他に内外詣(うちそともうで)(金剛)で、神主が獅子を舞う。
なるほどと、納得する。
また、『能を読む 4 信光と世阿弥以降 異類とスペクタル』や『観世流続百番集』「望月」を読むと、歌舞伎の 『元禄忠臣蔵 御浜御殿綱豊卿』には、『石橋』よりも内容的に『望月』の方が向いていると思える。
よって、原作では『石橋』であったかもしれないが、後に演出効果を考えて、歌舞伎では『望月』を用いられるようになったのではないかと、私は考えているが確信は持てない。
参考図書
『観世流続百番集』「望月」
『能を読む 4 信光と世阿弥以降 異類とスペクタル』
『岩波講座 能・狂言 能鑑賞案内』
『日本の古典芸能 3 能』
『元禄忠臣蔵 御浜御殿綱豊卿』は、なぜ『望月』なのかを探るために。 1
『元禄忠臣蔵 御浜御殿綱豊卿』は、なぜ『望月』なのかを探るために。 2 『望月』【詞章】
『元禄忠臣蔵 御浜御殿綱豊卿』は、なぜ『望月』なのかを探るために。 3 『能を読む-4 信光と世阿弥以後 異類とスペクタクル』より『望月』
『元禄忠臣蔵 御浜御殿綱豊卿』は、なぜ『望月』なのかを探るために。 4 よもやつれづれ
『元禄忠臣蔵 御浜御殿綱豊卿』は、なぜ『望月』なのかを探るために。 5 複数本を探しても、答えは見つからず…乱鳥迷鳥気味である。
『元禄忠臣蔵 御浜御殿綱豊卿』は、なぜ『望月』なのかを探るために。 6 真山青果全集は見つからず…乱鳥再び迷鳥乱飛のまま、宿り木へ
『元禄忠臣蔵 御浜御殿綱豊卿』は、なぜ『望月』なのかを探るために。 7 後に演出効果を考えて、歌舞伎では『望月』を用いられるようになったのではないか
暮れのことだっただろうか。
つい先日のこと。
親切な方に、文庫本に真山青果の 『元禄忠臣蔵 御浜御殿綱豊卿』が出版されていると教えていただいた。
そこには、元々の謡曲は『望月』ではなく、『石橋』であったと記されていたという。
私は、文庫本の『元禄忠臣蔵 御浜御伝綱豊卿』は読んでないので定かではないが、今一度松竹座の案内などを確かめてみると、そこには『望月』と書かれていた。
しかし、原作では、『石橋』であったのかもしれないと後ろ髪を引かれる。
私は真山ものが苦手なので、読むに至らないのが残念である。
親切な方のおっしゃるように、元『石橋』であったが、面を使うために、『望月』に変更されたのかもしれない。
確かに『観世流続百番集』で『望月』をみると、直面(ひためん)であり、一部布で顔を覆っている。
髪も『石橋』のように百毛ではなく、『望月』では歌舞伎の『元禄忠臣蔵 御浜御殿綱豊卿』のようにファッション性が『石橋』とはまた異なる。
のちに歌舞伎で、謡曲変更したとしても不思議ではない。
『岩波講座 能・狂言 能鑑賞案内』、『望月』を弄っていると、338ページに次のように説明されていた。
「獅子」が舞われる曲として『石橋』がある。それは、獅子口の面をつけた獅子そのものの舞であるが、これに対して本曲(『望月』)は、人が芸能として獅子を舞う。他に内外詣(うちそともうで)(金剛)で、神主が獅子を舞う。
なるほどと、納得する。
また、『能を読む 4 信光と世阿弥以降 異類とスペクタル』や『観世流続百番集』「望月」を読むと、歌舞伎の 『元禄忠臣蔵 御浜御殿綱豊卿』には、『石橋』よりも内容的に『望月』の方が向いていると思える。
よって、原作では『石橋』であったかもしれないが、後に演出効果を考えて、歌舞伎では『望月』を用いられるようになったのではないかと、私は考えているが確信は持てない。
参考図書
『観世流続百番集』「望月」
『能を読む 4 信光と世阿弥以降 異類とスペクタル』
『岩波講座 能・狂言 能鑑賞案内』
『日本の古典芸能 3 能』
『元禄忠臣蔵 御浜御殿綱豊卿』は、なぜ『望月』なのかを探るために。 1
『元禄忠臣蔵 御浜御殿綱豊卿』は、なぜ『望月』なのかを探るために。 2 『望月』【詞章】
『元禄忠臣蔵 御浜御殿綱豊卿』は、なぜ『望月』なのかを探るために。 3 『能を読む-4 信光と世阿弥以後 異類とスペクタクル』より『望月』
『元禄忠臣蔵 御浜御殿綱豊卿』は、なぜ『望月』なのかを探るために。 4 よもやつれづれ
『元禄忠臣蔵 御浜御殿綱豊卿』は、なぜ『望月』なのかを探るために。 5 複数本を探しても、答えは見つからず…乱鳥迷鳥気味である。
『元禄忠臣蔵 御浜御殿綱豊卿』は、なぜ『望月』なのかを探るために。 6 真山青果全集は見つからず…乱鳥再び迷鳥乱飛のまま、宿り木へ
『元禄忠臣蔵 御浜御殿綱豊卿』は、なぜ『望月』なのかを探るために。 7 後に演出効果を考えて、歌舞伎では『望月』を用いられるようになったのではないか