『蝶の道行』
出演:市川染五郎 中村七之助
2011年(全2話)
27分
カラー
衛星劇場公式HPより ▼
儚く世を去った男女が蝶の姿となって舞い踊る。 春の野辺に助国(染五郎)と小槇(七之助)が姿を現す。この世で結ばれることのなかったふたりは、蝶の姿となって戯れ遊びぶが、地獄の責めに遭い、その羽ばたきを止めるのだった。 助国、小槇の悲恋を主題としたドラマティックで幻想的な義太夫舞踊。江戸時代に初演された「けいせい倭荘子」の五段目にあたる部分で、昭和37年6月の歌舞伎座で武智鉄二演出・川口秀子振付による復活上演が大評判となって以来、度々上演されている。 (2011年/平成23年5月・明治座)
以前松竹座で七之助さんの『鷺娘』を観て、感動したことがあった。
今回の七之助さんも人間が蝶を演じているのではない。
蝶にとり憑かれたか或は化身した異類の美しい魔物のようだ。
うまい役者で台詞の言い回しや間や強弱を巧みに操る方がいらっしゃる。
七之助さんは『鷺娘』や『蝶の道行』で そういったうまい役者さんの台詞の巧みさを、顔や体を使って表情豊かに表現される。
また、古典歌舞伎の台詞の言い回しや強弱が、古典歌舞伎の好きなわたくしには気持ち良く響く。
若い役者群で考えると染五郎さんや七之助さん( 他)は本来の歌舞伎にとって貴重な存在だと感じる。
『蝶の道行』では、舞台映えがするの染五郎さんのまじめな演じ方踊り方と七之助さん
お美しいご両人が幻想的に舞を表現されると、奇数で構成された異次元空間にはまり込んだような心地よさを味わうことができる。
このままこのお二人の組み合わせが増え、昔の考玉のような舞台を数多く繰り広げていただきたいと願う。
役者お二人と演出も含めて、好感の持てる正統派の『蝶の道行』だと感じた。