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道教「道」について   『中国の吉祥文化と道教  祝祭から知る中国民衆の心』奈良行博著 明石書店

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  道教「道」について   『中国の吉祥文化と道教  祝祭から知る中国民衆の心』奈良行博著 明石書店


 

 奈良行博著『中国の吉祥文化と道教  祝祭から知る中国民衆の心』には次のような興味深い内容が記されていたので、書き写すことにしました。


 


『老子』四十二章に「道生一、一生二、二生三、三生万物」という語があります。これは宇宙に存在するものすべてのもの、つまり「万物」は「道」から生まれてきたのだと説明しています。(『中国の吉祥文化と道教』P.125)
 云々


 今一度、「道」の説明をするために、ガラスのコップを持って海底に潜ってみます。海底で砂を救って、コップの口いっぱいにまで満たします。それを海水中で倒して、砂を海底に流し出します。すると砂の代わりに海水がコップの中に入ります。次に、コップを立てて海面に上がり、陸地でコップを倒します。すると、コップの海水は砂浜に流れ落ちて、コップの中には空気が入ります。ここまでは我々の通常の感覚で理解できて、それ以上の追求をしません。ところが、空気が満たされているコップを持って、遥か上空に上がり大気圏外に出ます。するとそこは宇宙空間で、空間はありますが空気はありません。その空気のないところで、持ってきたコップの口を開いて、ゆるゆると空気を真空世界に流します。その時、コップの中に入ったものは何なのでしょうか。真空は空気がないことではありますが、そのことがつまり空間がゼロというわけではありません。その真空空間に存在するものが、すなわち仮に名付けると「真空物質」というものであって、「存在のないモノ」ではないのです。私(『中国の吉祥文化と道教』著者 奈良行博)はこの真空物質こそが「道」ではないかと推測します。  (『中国の吉祥文化と道教』P.127)



 「道」は万物の祖と言われる様に、万物は全て「道」に由来し、全て道でできているのです。しかしは、道の本来の姿のまま人間が感知できるものではなく、何も存在しないかのごとく感じられます。しかしそれは、人間の感覚で感じられるだけの話で、もっと微妙で鋭敏な感覚を持った他の生物や他の感知手段でなら感じることができるかもしれません。もしも宇宙空間に出て手を振ってみたとき、空気中で手団扇を振った時に感じる様な風の揺らぎを感じられるのであれば、おそらくその人は「道」の存在を感じることができるでしょう。   (『中国の吉祥文化と道教』P.129ー130)


 



【道教 】  (大辞泉)
 中国、古代の民間信仰を基盤とし、不老長生・現世利益を主たる目的として自然発生的に生まれた宗教。
 のち、仏教への対抗上、神仙説など道家の思想、および仏教の教理儀礼が取り入れられた。
 5世紀前半、北魏の寇謙之(こうけんし)が教祖を黄帝・老子とし、張道陵を開祖として道教教団を形成した例もあるが、多くは民間信仰として発展。

【道教 】  (世界大百科事典 第2版)
 道教とは何か――この問題に対しては研究者のあいだで見解がまだ一致していない。
 ここでは以下に述べる2点から検討考察を加える。
 その第1点は,中国の思想史とくに古代,中世の思想史において,一般的に〈道教〉という言葉が実際にどのような思想概念として用いられてきているか,また,それは中国土着の民族宗教としての〈道教〉の概念とどのようなかかわりを持っているかであり,第2点は,中国において民族宗教としての道教が,その神学教理もしくは思想哲学を一応整備完成するにいたる唐・五代・宋初の時期において,道教の教団内部の学者たちがその教をどのような宗教として自覚し,規定し,ないしは神学教理の整備体系化を行っているかである。

    

    

    

 

 

 

 

 

 

 

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