Quantcast
Channel: 乱鳥の書きなぐり
Viewing all articles
Browse latest Browse all 5148

コクーン歌舞伎「天日坊」 演出・串田和美×脚本・宮藤官九郎 5★/5★ 中村勘九郎 中村七之助 市村萬次郎 片岡亀蔵 坂東巳之助 中村獅童

$
0
0
  写真は宍道湖の夕日




  コクーン歌舞伎「天日坊」 演出・串田和美×脚本・宮藤官九郎  
  5★/5★ 中村勘九郎 中村七之助 市村萬次郎 片岡亀蔵 坂東巳之助 中村獅童



 私自身が結構良い(?)お年頃になったせいか、一昨年の松竹座の七月大歌舞伎(MH)以降、関西で興行されている歌舞伎に物足りなさを感じているせいか、コクーン歌舞伎の様な熱気を感じられる歌舞伎を見ると、感動してしまう。

 現MKが傾奇を盛んに口にし「不二才」(南座)で興行してからというもの、続出するおちゃらけ的な歌舞伎にヘキヘキとしていた。

 しかしながら東京ではコクーン歌舞伎の様に基本や形を受け継ぎ守りながらも、観客の感覚を刺激し呼び起こし目覚めさす。

 江戸時代から考えて時代の最先端であり広告塔でもあった例に挙げるならば團十郎の根付や着物柄など身につけたものはいち早く庶民が買い求めたことなどを考えると時代の最先端を走っていたと言える歌舞伎及び歌舞伎役者。

 そういった良い部分を良い方向に受け入れ表現しているコクーン歌舞伎の様な舞台が見られるのかと考えると、これまでは芝居では遠征しないと決めていた私も東京くらいなら行こうと考えさせる。

 幸い夫の理解も得られている。また、一緒に行こうともいってくれているので、今後は本当の意味での進化し続ける歌舞伎や芝居を楽しむためには新幹線もやむおえないと感じる。


 ところでコクーン歌舞伎「天日坊」も昨日見たコクーン歌舞伎「切られ与三」と同様、心がときめき感動した。

 場面場面での細やかな役者さんたちの表情にも、心が打たれ、ときにはじんわりと涙がにじみ出た。


 話の展開は大変面白く仕上げられていた。

 若干映画『キネマの天地』を思い浮かべさせるリズムは随所随所、そして最終場面でも用いられ、効果的であった。

 
 役者さんたちが素晴らしく、体当たりで舞台に挑んでおられた。

 場面に合わせて口調や声色や添付も演出を基本に自由自在に表現されていた。

 時には相当な早口で話される場面もあり、花組芝居のネオ歌舞伎を思い浮かべた。(花組芝居も、昨今、関西公演はない><)

 この並行輸入的な感覚にも寛大である演出家や役者さんたちにも、心から拍手を送っていた。


 台詞といえば、『白波五人男』風の新たな脚本を、白波風に言い回す場面が多々あり。

 勘九郎さんは、初めのそういった場面で楽しんでいる客に対して、
「黙阿弥風台詞ね。」
と念を押した。

 その後、場面に応じて、七之助さん、また、勘九郎さんらも『白波五人男』を元にした言い換えを、白波風口調で大見得を切られた。

 七之助さんのきっぱりとした口調や声色と見得は心地が良かった。


「切られ与三」と同じ様に、好きな役者さんが多く出演されていた。

 そして、七之助さんの眩いまでの美しさと形と見得と口調に見入ってしまった。

 彼はどうしてこんなに素晴らしい力を持っておられるのでしょう。

 七之助さんが舞台に立っておられると七之助さんの色調で包まれ、後光がさしている。

 これを一般的な言葉では、オーラというのであろう。

 
 家にいながらにして、満足の行く舞台を見ることができた。

 明日は「切られ与三」を思い羽化bながら、『名作歌舞伎全集 第十六巻』「与話情浮名横櫛」を読了したい。

 



   wowow公式HPより  ▼




 幕末の歌舞伎が演出・串田和美と脚本・宮藤官九郎で「コクーン歌舞伎」でよみがえった。勘九郎、獅童、七之助ら若手俳優がトランペットの音楽で立廻りをするラストは圧巻。


 幕末の歌舞伎が演出・串田和美と脚本・宮藤官九郎で「コクーン歌舞伎」でよみがえった。勘九郎、獅童、七之助ら若手俳優がトランペットの音楽で立廻りをするラストは圧巻。
古典歌舞伎の名作に現代的な演出をほどこして、世に送り出してきたコクーン歌舞伎。今回は中村勘九郎主演、宮藤官九郎脚本の“Wカンクロウ”による、斬新な舞台となった。
「天日坊」は幕末以来、実に約150年ぶりの上演という河竹黙阿弥初期の作品。ある若者が奇妙な運命のもと五十三次を旅する物語。宮藤官九郎は自らのアイデンティティーを問う主人公を軸に再構成し、テンポのよい笑いと絶妙な掛け合いが満載の脚本としてよみがえらせた。そして、串田和美は現代と江戸が交錯する世界を美しくも悲哀を帯びた演出で描く。主人公に中村勘九郎、彼が旅の途上で出会う盗賊に中村獅童、中村七之助。トランペットの音色が主人公たちの決意と悲哀を鮮やかに引き立たせ、コクーン歌舞伎にひときわ鮮烈な風が吹く。
【あらすじ】
 自らの生まれ素性も知らずに育った青年・法策(中村勘九郎)は、ふとしたきっかけから、将軍源頼朝の落胤(らくいん=非嫡出子)になりすまし、鎌倉へ向かうことに。悪事を重ねつつ旅をするうちに、盗賊の地雷太郎(中村獅童)とその妻・お六(中村七之助)と出会う。やがて、思いもかけなかった自分の運命を知ることになった法策は、“天日坊”を名乗り、途方もない野望を胸に突き進んでいく。
収録日・収録場所
2012年7月4日/東京 Bunkamuraシアターコクーン


出演
中村勘九郎
中村七之助
市村萬次郎
片岡亀蔵
坂東巳之助
坂東新悟
近藤公園
真那胡敬二
白井晃
中村獅童
スタッフ
脚本
宮藤官九郎
演出・美術
串田和美




Viewing all articles
Browse latest Browse all 5148

Trending Articles