大神神社(三輪神社) 『三輪』
日本古典文学大系『近松浄瑠璃集 上』より 『大経師昔暦』近松門左衛門(だいきょうじ むかしごよみ、通称「おさん茂兵衛」)
近松作品本来の面白みに触れることができる作品のうちの一つ。
先日溝口健二監督 依田義賢脚本の 映画『近松物語』を楽しんだ。
映画『近松物語』は、近松門左衛門作の人形浄瑠璃『大経師昔暦』を下敷きに作られ、一般的には『おさん茂兵衛』でも知られる。
【大経師】だいきょうじとは、
① 経巻・仏画などを表装する職人の長。朝廷の用を受け、また奈良の幸徳氏・賀茂氏より翌年の新暦を受けて大経師暦を発行する権利を有した。
② 経師屋。表具師。(大辞林 第三版)
また、
1 昔、朝廷御用の、経巻・仏画などを表装した職人の長。造暦にあたった賀茂・幸徳井両家から新暦を受け、大経師暦を発行する権利を与えられた。
2 表具師。 (大辞泉)
と記されている。また、
【大経師昔暦】だいきょうじむかしごよみとは、大辞泉によれば、次のようにある。
浄瑠璃。世話物。3巻。近松門左衛門作。正徳5年(1715)大坂竹本座初演。
京都の大経師の妻おさんと手代茂兵衛との密通事件を脚色したもの。
近松三姦通物(かんつうもの)の一。
通称「おさん茂兵衛」。
近松の「おさん茂兵衛」で名高い『大経師昔暦』は、『曽根崎心中』など近松作品本来の姿と同様、芝居のように最後は悲恋で美しく二人で死ぬなどといった安直な話ではない。
もう少し近松作品を読み進めていきたいが、近松門左衛門はそういったことを表現していない。
ところが、歌舞伎などでは、最後は美しく描かれる。
それはそれで、演劇の味わいがあり面白いと思う。
だが、できれば、作品本来の意図を踏まえた上で、芝居を味わいたいものだと、齢を重ねた今の私は思うのである。
ところで、日本古典文学大系(赤)で読んだ『大経師昔暦』は、最後の最後でどんでん返し。
黒谷のお坊さんが着物の裾をまくしたて駆け寄り、あれやこれやとまくしたてておさんを救う。
見事なまでに近松の面白みを描き出している。
これを芝居にすれば収集がつかなくなるであろうことを考えると、やはり、芝居は芝居、原作は原作の良さがあり、両方楽しめれば一層良いと感じた。
かわいそうなのが、お玉。
首掻っ切られ、差し出される。
部分的に『すし屋』の女房子供を思い浮かべた。
当時どこまで忠義が重んじられたかは定かではないが、芝居や読み本によれば、忠義忠義と口やかましいくらいに出てくる演目や作品がある。
今では考えられない忠義に、現在人の私は作品として面白みを覚えるのである。
日本古典文学大系『近松浄瑠璃集 上』より 『大経師昔暦』近松門左衛門(だいきょうじ むかしごよみ、通称「おさん茂兵衛」)
近松作品本来の面白みに触れることができる作品のうちの一つ。
先日溝口健二監督 依田義賢脚本の 映画『近松物語』を楽しんだ。
映画『近松物語』は、近松門左衛門作の人形浄瑠璃『大経師昔暦』を下敷きに作られ、一般的には『おさん茂兵衛』でも知られる。
【大経師】だいきょうじとは、
① 経巻・仏画などを表装する職人の長。朝廷の用を受け、また奈良の幸徳氏・賀茂氏より翌年の新暦を受けて大経師暦を発行する権利を有した。
② 経師屋。表具師。(大辞林 第三版)
また、
1 昔、朝廷御用の、経巻・仏画などを表装した職人の長。造暦にあたった賀茂・幸徳井両家から新暦を受け、大経師暦を発行する権利を与えられた。
2 表具師。 (大辞泉)
と記されている。また、
【大経師昔暦】だいきょうじむかしごよみとは、大辞泉によれば、次のようにある。
浄瑠璃。世話物。3巻。近松門左衛門作。正徳5年(1715)大坂竹本座初演。
京都の大経師の妻おさんと手代茂兵衛との密通事件を脚色したもの。
近松三姦通物(かんつうもの)の一。
通称「おさん茂兵衛」。
近松の「おさん茂兵衛」で名高い『大経師昔暦』は、『曽根崎心中』など近松作品本来の姿と同様、芝居のように最後は悲恋で美しく二人で死ぬなどといった安直な話ではない。
もう少し近松作品を読み進めていきたいが、近松門左衛門はそういったことを表現していない。
ところが、歌舞伎などでは、最後は美しく描かれる。
それはそれで、演劇の味わいがあり面白いと思う。
だが、できれば、作品本来の意図を踏まえた上で、芝居を味わいたいものだと、齢を重ねた今の私は思うのである。
ところで、日本古典文学大系(赤)で読んだ『大経師昔暦』は、最後の最後でどんでん返し。
黒谷のお坊さんが着物の裾をまくしたて駆け寄り、あれやこれやとまくしたてておさんを救う。
見事なまでに近松の面白みを描き出している。
これを芝居にすれば収集がつかなくなるであろうことを考えると、やはり、芝居は芝居、原作は原作の良さがあり、両方楽しめれば一層良いと感じた。
かわいそうなのが、お玉。
首掻っ切られ、差し出される。
部分的に『すし屋』の女房子供を思い浮かべた。
当時どこまで忠義が重んじられたかは定かではないが、芝居や読み本によれば、忠義忠義と口やかましいくらいに出てくる演目や作品がある。
今では考えられない忠義に、現在人の私は作品として面白みを覚えるのである。