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Channel: 乱鳥の書きなぐり
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映画 『喰女-クイメ-』2014年 三池崇史監督 市川海老蔵 柴咲コウ マイコ 根岸季衣  東映

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  映画 『喰女-クイメ-』


 二人で大阪へ。映画を見に行く。
 題して、『喰女-クイメ-』

 
 写真はドラえもんの目
『喰女-クイメ-』チケを鼻であしらっている訳ではない。
 ましてドラえもんの目がチケットをむしゃりんこ、喰目しようとしている訳ではない。
 クイメは喰女であって、喰目にあらず。

 映画『喰女-クイメ-』は筋書きはほぼ想像できた。
 だが、『真四谷怪談』と劇中劇と現実がどのように表現されているかに期待を寄せていた。
 思っていたように、現実と挙行の入り乱れる。

 加えて、『真四谷怪談』。マイコさんが演じたれた役柄に、『色彩間苅豆 (塁 かさね)』(四代目鶴屋南北作)が見え隠れする。
 どうもいけない。
 女と怨念を描いたと言っても過言ではない「岩(いわ)」と「塁 (かさね)」と「菊(きく)」は、切っても切れない運命共同体的なイメージが書く作品をさまよい、怖さを増す。
 数年前、海老蔵さんが松竹座の風呂で足を怪我されて仁左衛門丈が代役となり三度見た『女殺油地獄』を思い浮かべる。東京で海老蔵さんがけんかされ、顔を陥没されると行った事件に巻き込まれられた怖さが『真四谷怪談』に、『喰女-クイメ-』に加わって、一種独特の怖さを増していた。

 また、女としての性
 数種類のおびただしい数の薬をカプセルから取り出す。両手で薬ををついばみ、間を置かず無表情で口に運ぶ。
 煮沸消毒する多くのフォーク類は熱湯の中であがき狂う。
 その凶器を風呂場に持ってゆき 云々。後は書くまい。
 ここで、一度目の絶えきれない怖さが私の隅々まで電気のように走り、身を固くして、思わず身震いした。

 映画を見ている間、怖さは続く。
 風を使いひかりを使い、形や蔭の錯覚で恐怖に陥れられた。
 
 日本の怪談映画や舞台には【幽霊の正体見たり枯れ尾花】的な技法が巧みに行かされるが、『喰女-クイメ-』も例外ではなかった。
 井上円了の説くお化けの正体なども、まさしくそれで、怪談には今もその手法が用いられ近年では諸外国によって日本の考える怖さが認められた事も、記憶として残っている。

 ところで『喰女-クイメ-』は劇中劇の舞台と舞台を見るスタッフ側の空間に強く魅かれた。
 登場しすぎる回り舞台は現実を呼び起こし、いい意味合いを持っていた。
 根岸季衣さんが舞台を見るスタッフ側におられると、怪談は劇中舞台からスタッフ席に冷たい空気が流れ込む。
 根岸季衣さんの存在は大きく、この映画に無くてはならない女優であった。
 
 気のきいた劇中劇の舞台美術だと思われたのは、乳母の根岸季衣さんがおあし(ムカデ)の提灯を下げ、伊藤梅( 中西美帆)宅にイエモンを連れて行く場面。
 伊藤梅( 中西美帆)宅ではおびただしい数のムカデを描いた行灯や切れや茅が目を見張る。
 光の灯る提灯の配置は動きがあって良し。
 また、京都の化野のイメージを強調する。
 またムカデそのものの存在も 時には吉祥、時には不吉というように、両方の意味合いがいわれる。
 吉祥と不吉をさまようムカデのイメージは、境界をさまよう人間と幽霊の中間のようで、怖さを増す。
 また、多くの足が強引に生きた人間をあの世に落としめると行った恐怖館をも植え付ける。

 ムカデの行灯の、化野のイメージは他にも何ヶ所かあった。
 この場面と前後するが、女のマンションのドレッシングなどのビン類。
 これははじめは遠巻きに人が見ているようであり、事件が起ってから後はクローズアップされ、その数も増え、墓場のようであった。
 マンションの他はスタッフ側の席の空間。
 各机や椅子にかけられたビニールは人が座った背丈で、井上円了の理論を思い浮かべる…などと悠長な事は言っていられない。何しろ怖い!と思って間もなく、殺されたはずの後藤美雪(柴咲コウ)が民谷岩のイメージを借りて座っている。

 マイコさんの演じられる倉田加代子役が自然体であり且つ怖かった。
 この淡々とした怖さは根岸季衣さんに通じる所があったように思う。
 特徴的な歩行は「塁 (かさね)」を通じて、これからおこるであろう「岩(いわ)」の悲劇を思い起こさせた。

 映画では按摩の女に対する誘いが弱く、存在すら弱かった。
 完全に目が見えない按摩は岩を美しい女性と思い込んで強姦した。
 これは内容的に考えて、少しもったいないような気がしたのは、わたくしだけであろうか。

 岩戸と按摩は不義密通の罪に陥れられて、戸板の表と裏につり下げられる。
 歌舞伎ならば戸板返しと言った所か…(笑)
 色々な手法を試み観客を楽しませる歌舞伎は捨てがたい技法を持っている。
 現実と虚構の世界を行き来する映画に仕上げるためには余分な所は削ぎ落としたという訳であろう。

 楽屋入り口の札は楽屋入りすると名は表替えされる。
 この映画では楽屋入り口の札さえもがあの世とこの世の境界線であり、死の世界は生きているわたくしたちの身近な所にもゴロゴロと存在する事を知る。
 そう考えると
     何もかもが、おそろしやぁ〜、おそろしやぁ〜  チン
 
 
喰女-クイメ-
喰女-クイメ-
Over Your Dead body(KUIME)
監督 三池崇史
脚本 山岸きくみ
原作 山岸きくみ
『誰にもあげない』
製作 遠谷信幸
製作総指揮 中沢敏明
出演者 市川海老蔵
柴咲コウ
伊藤英明
中西美帆
マイコ
根岸季衣
勝野洋
古谷一行
音楽 遠藤浩二
撮影 北信康
編集 山下健治
製作会社 映画「喰女-クイメ-」製作委員会
配給 東映
公開 2014年8月23日
上映時間 94分
製作国 日本
言語 日本語
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『喰女-クイメ-』(くいめ、Over Your Dead body(KUIME))は、三池崇史監督による2014年の日本映画である。第39回トロント国際映画祭のVanguard部門(技術や文化、セクシュアリティー、あるいは映画それ自体の可能性を広げた作品をセレクションしていると言われる部門)に正式出品され上映が予定されている[1]。

有名女優、後藤美雪主演で企画された舞台『真四谷怪談』。恋人の美雪の口添えで見事に伊右衛門役を射止めた売れない俳優の長谷川浩介だったが、浮気癖で優柔不断な性格が災いして共演者の朝比奈莉?や美雪の付き人の倉田加代子にまで手を付けてしまう。浩之の浮気に気づきながらも彼を受け入れようとする美雪と不貞の限りを尽くす浩介の現状が『四谷怪談』の岩と伊右衛門のそれぞれの役と一致していくことで、次第に二人は役に異常なほどにのめり込んで行き、芝居と現実との区別のつかない狂気の世界へ陥っていく。
キャスト
長谷川浩介/伊右衛門 - 市川海老蔵
後藤美雪/民谷岩 - 柴咲コウ
鈴木順/宅悦 - 伊藤英明
朝比奈莉?/伊藤梅 - 中西美帆
倉田加代子 - マイコ
堀内みすづ/乳母槙 - 根岸季衣
尾形道三郎/民谷又左ェ門 - 勝野洋
嶋田貫二/伊藤喜兵衛 - 古谷一行
スタッフ[編集]
監督 - 三池崇史
企画 - 市川海老蔵、中沢敏明
原作・脚本 - 山岸きくみ『誰にもあげない』(幻冬舎文庫)
製作 - 遠谷信幸、遠藤茂行、木下直哉、Hengameh Panahi、奥野敏聡、任一万
共同製作 - 厨子健介、千野毅彦、谷澤伸幸
プロデューサー - 坂美佐子、前田茂司、谷澤伸幸
ラインプロデューサー - 小松俊喜
キャスティング - 北田由利子
音楽 - 遠藤浩二
撮影 - 北信康
照明 - 渡部嘉
美術 - 林田裕至、佐久嶋依里
録音 - 中村淳
装飾 - 坂本朗
編集 - 山下健治
音響効果 - 柴崎憲治
CGIディレクター - 太田垣香織
衣裳・ヘアメイクデザイン - 柘植伊佐夫
スタイリスト - 前田勇弥
助監督 - 渡辺武
制作担当 - 堀岡健太
制作 - セディックインターナショナル
制作プロダクション - オー・エル・エム
制作協力 - 楽映舎
配給 - 東映
製作 - 2014映画「喰女-クイメ-」製作委員会(幸助、セディックインターナショナル、電通、東映、木下グループ、CELLULOID DREAM、オー・エル・エム、上海鵬錦影視文化)




 
 おまけの写真
 天王寺 アポロシネマにて 『ルパン三世』(小栗旬)

 
 天王寺 アポロシネマにて 「ぼく、ドラえもんです。」


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